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概要

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国際会計基準審議会における公正価値測定の拡大の論理33この他にレベル3のインプットを継続的に用いている場合には,期首残高から期末残高への調整表(reconciliation)や観察不能なインプットの変動に対する公正価値測定の感応度の記述説明など,より多くの情報を提供することが求められている。このため,開示される情報量の差という点からインプットレベルのヒエラルキーが重要な意味を持つこととなるが,当初測定におけるレベル2とレベル3の境界にある事象の適切なレベル選択や事後測定時における市場やインプットレベルの変化などの要因によってレベル区分の変更(transfer)が必要となったときに実体が適切なレベルを選択できるかという問題が存在している。?資産または負債の活動の量または水準が著しく低下した場合の公正価値測定2008年のサブプライム・ローン問題による金融危機によって市場が活発でなくなり,市場価格を用いることが困難な状況となった。IFRS第13号では,こうした状況への対応として活発な市場が活発でない市場に変化し,市場における公表価格を公正価値として用いることができなくなった場合における公正価値測定について規定されている。IFRS第13号では,次の?から?のような要因の重要性と関連性(relevance)を評価し,資産または負債の活動の量または水準が著しく低下しているか決定しなければならないとしている29。?最近の取引がほとんどない。?公表価格(price quotations)が現在の情報を用いて開発されていない。?公表価格が時期によってまたは市場形成者(market-makers)間で実質的に変化している。(例えば,いくつかのブローカー市場)?これまでの資産または負債の公正価値と高い相関があった指数(indices)が,資産または負債の公正価値の最近の指標(indications)と明らかに相関しなくなっている。?資産または負債についての信用および他の契約不履行リスクに関するすべての利用可能な市場データを考慮した,実体の期待キャッシュ・フローの見積りと比較し