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概要

112

34高知論叢第112号た時,観察される取引または公表価格についてのインプライド流動性リスク・プレミアム,イールドまたは(滞納率や損失の分布のような)パフォーマンス指標が著しく上昇している。?ビッド・アスク・スプレッドが広がっている,またはビッド・アスク・スプレッドが著しく増加している。?資産または負債もしくは類似の資産または負債についての新規発行市場(すなわち一次市場)の活動が著しく低下しているか,またはそのような市場がない。?公に利用可能な情報がほとんどない。(例えば,相対市場で行われる取引)こうした判断基準により資産または負債の活動量または水準が著しく低下していると実体が結論づけた場合,取引または公表価格のさらなる分析が必要となるとしている。これは,資産または負債の活動の量または水準が著しく低下しただけでは,取引価格や公表価格が公正価値を表さなくなっているとは考えられない場合があるためである。こうした分析を通して取引価格や公表価格が公正価値を表していないと実体が判断した場合は,公正価値を測定するために取引価格や公表価格を調整することをもとめている30。また,公正価値は秩序のある取引において成立するものであることから,取引が秩序あるものかどうか判断することが必要であるとして,取引が強制的に行われている場合など秩序ある取引でないこと示す状況あげている31。取引が秩序ある取引でないと実体が判断した場合,取引価格へのウェイトをほぼなしにしなければならないとしている32。? IFRS第13号公表の意味IASBの公正価値測定の問題は,内的と外的の二つの側面から考えることができる。つまりIASBの各基準における整合性はかるという内的な問題とIASBとFASBの公正価値測定の基準を単一のものとするという外的な問題である。IASBは,FASBの公正価値測定基準をもとにIASBの公正価値測定基準を作成することで,この2つの問題の解決をはかろうとしたと考えられる。しかし,FASBの公正価値測定基準は,FASBの概念に基づき作成され,アメリカにおいて合意形成がなされてものであったことから,IASBの基準として