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概要

112

国際会計基準審議会における公正価値測定の拡大の論理37順次IASCの基準である国際会計基準(IAS)をIASBの基準であるIFRSにおきかえていくこととした。概念フレームワークは,そのまま引き継がれることとなった。概念フレームワークを改訂する契機となったのは,2002年9月にFASBと結ばれたノーウォーク合意であった。ノーウォーク合意では,IASBとFASBの会計基準のコンバージェンスを進めることが確認され,このためにIASBとFASBの概念レベルでの共有化が検討されることとなった。その後,2005年2月のIASBの会議において概念フレームワーク改訂プロジェクトを8つのフェーズ44にわけて検討し,2010年にこれらすべての完成を目標とすることが決定した。2005年5月のIASB会議では,フェーズAの質的特性についてとりあげられ,目的適合性と信頼性とそれらに内包される特性について議論された。ここでの議論の結果,信頼性を誠実な表示(faithfulrepresentation)におきかえる45とともに,IASBが用いている慎重性(prudence)を今後作成される概念フレームワークから削除すべきである46ことが暫定的に合意された。この検討は,2006年7月のディスカッション・ペーパー「財務報告に関する改善された概念フレームワークの予備的見解:財務報告の目的と意思決定に有用な財務報告情報の質的特性」,2008年5月のフェーズAに関する公開草案「財務報告に関する改善された概念フレームワーク第1章:財務報告の目的,第2章:意思決定に有用な財務報告情報の質的特性と制約」という過程をへて,2010年9月に概念フレームワーク「財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク」の一部をおきかえる形で「財務報告に関する概念フレームワーク」が公表された47。?概念フレームワークにおける公正価値測定2010年の概念フレームワークの一部改訂公表後,IASBとFASBは概念フレームワークに関する共同作業を中止した。IASBは,2011年のアジェンダについての公開協議に対する意見を踏まえて,2012年に単独で概念フレームワーク改訂プロジェクトを再開することとした。新たな概念フレームワーク改訂プロジェクトでは,財務諸表の構成要素,認識および認識の中止,測定,表示と