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概要

112

国際会計基準審議会における公正価値測定の拡大の論理39徴と適した測定の選択について述べられている53。測定の選択について2013年DPでは,「すべての資産と負債を同じ基礎で測定することで,財務諸表におけるすべての金額が同じ意味を持つことになり,合計や小計が,現行の要件に基づいて作成される財務諸表よりもより理解可能性の高いものとなるであろう54」と述べ,目的適合性の観点から同じ基礎(単一の測定方法を用いること)による測定の可能性を検討したが,同じ基礎による測定は目的適合的な情報を提供しない可能性があるとして,IASBは予備的見解としてすべての資産および負債を同じ基礎で測定することを勧めるべきではないとしている55。つまり,2013年DPでは,目的適合性の観点から複数の測定を用いることとし,上述した3つの区分の中から適切な測定を識別することが有用であると考えられている。2013年DPでは,適切な測定の識別のために次のような提案を行っている56。?特定の(particular)資産について,それが将来キャッシュ・フローにどのように貢献するのかによるべきである。?特定の(particular)負債について,実体がその負債をどのように決済または履行するのかによるべきである。ここで示されるように資産については,資産が将来のキャッシュ・フローに貢献するかどうかによって適切な測定を識別すべきであるとし,資産が将来のキャッシュ・フローに貢献する一般的な方法として,収益または利益を生みだすために事業活動において使用する(using),売却する(selling),条件に従った回収のために保有する(holding),使用する権利について他者に請求する(charging)という4つをあげ,これらの選択肢は変化する可能性があるためその不確実性を扱う方法を決定しなければならないとしている57。他方,負債については確定した(stated)条件あるものと確定した条件がないものにわけ,確定した条件のあるものについては原価を基礎とした測定が目的適合性の高い情報を提供するとし,確定した条件がない場合は,その負債に原価がなく現在市場価格もないことから,キャッシュ・フローを基礎とした測定が選択されると考えられている58。