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概要

112

国際会計基準審議会における公正価値測定の拡大の論理41?概念フレームワークに測定を位置づける意味IASBの現行の概念フレームワークは,外部利用者のための財務諸表の作成および表示の基礎をなす諸概念を記述するものであり,IFRSではないことが明示されている。また,特定の測定または開示の論点について基準を定めるものではなく,特定のIFRSに優先するものではないと位置づけられている67。2013年DPの測定の節に対するコメントとして,基準レベルの詳細な内容が多すぎるという見解が示されたことから,2015年EDでは測定の基礎とそれらが提供する情報の利点と欠点,測定の基礎を選択する時に考慮すべき要因に焦点をあて概念として位置づけようとしている68。ここで論じられる概念と基準の境界がどこにあるかは不明ではあるが,概念フレームワークとして位置づけることは,その内容が普遍化されたものであり,その内容について一定の合意形成が行われたということを意味する。この概念レベルにおける合意形成を拠り所として,IASBは新たな会計基準を開発や現行の会計基準の見直しを行うとともに,情報利用者は概念フレームワークに基づき財務報告で示される情報を理解することとなる。2015年EDにおける測定は,複数の測定の基礎を用いるという点においてはこれまでの概念フレームワークと同じであるが,歴史的原価と現在価値(とくに公正価値)をどのように用いるかを明確にすることで歴史的原価と現在価値のすみわけを行い,目的適合性の観点から公正価値を歴史的原価と同等のレベルで使用可能としている。また,これまで公正価値を用いる際に問題とされてきた不確実性については,目的適合性の高い情報提供を行えるならば不確実性は問題とならない69という論理によって,公正価値測定によって算定される数の本質的な有用性についてはふれることなく,合意形成をはかろうとしている。3.IASBにおける公正価値測定の拡大の論理IASBは,金融商品会計を中心に公正価値測定の適用を拡大してきた。2000年に公表されたJWGドラフトにおいてすべての金融商品に公正価値評価を適用するという考え方が示され,この提案に呼応するかのようにIASBの会計基