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概要

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日本のファミリービジネスに関する歴史的研究3の会社が自己の株式投資信託及び投資法人に関する法律昭和二十六年法律第百九十八号第二条第十四項に規定する投資口を含む)又は出資を有する場合のその会社を除く)の三人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう」この法律は法人税について,申告,納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保する事が前提とされており,ファミリー会社を定義する場合にはやや狭い範囲となっている。創業者,経営者は上限75%に制限されるが,上場企業において50パーセントを創業者が保有し続けることは稀である。20%以上の株式を握られた会社は,持分法適用会社である。他方で,創業者が個人保有株が1パーセント以下でも会社の経営を掌握できる場合があるなどファミリービジネスの定義は多様である。ファミリービジネスの定義には以下のような論点がある。1.ファミリーの親族関係に関して血縁関係がなくてもファミリーに含むのか。例えば婿養子が後継者になった場合を含むのか否か。2.大株主であるファミリーがビジネスとどのような関係にあればファミリービジネスと言えるのか。3.会社の所有と持株割合,創業家による経営への関与の度合い如何。4.創業家ファミリーが社長や会長など経営のトップでなく,かつ上位10人の大株主に入っていなくても取締役,監査役等として経営を担うことがあればファミリービジネスと言えるのか。5.創業者が引退して中継ぎの人材が一時的に経営のトップにつき,次世代の一族が後継の経営者となる場合もファミリービジネスと言えるのか。6.創業家ファミリーが個人あるいは投資会社を通じて大量の株式を所有しているが経営には関与していない場合等がファミリービジネスの定義に関わる論点である。先行研究ではファミリービジネスの定義に関して幅広い捉え方を行っている3。本稿で対象とするFamily Firmは広義のファミリービジネスであり,先行3Family firms and firm performance: Evidence from Japan Journal of the Japaneseand International Economies Volume 22, Issue 4, December 2008 Takuji Saito