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概要

112

48高知論叢第112号保し続けるには労働時間管理がマネジメントの重要な鍵と考える。とくに,地方の中小企業にとり重要な検討課題と考える。2015年,労働政策研究報告書No.170『仕事と介護の両立』が報告され,そのなかで「仕事と介護の両立に関する労働時間面の課題」として介護者からのアンケート調査に基づき,仕事と介護の両立について,労働時間の「長さ」と「柔軟性」の2つの観点についての両立条件が指摘された1。この報告を受け,地方の中小企業の現場への適用について考察を試みる。中小企業において,介護と両立するための労働時間の「長さ」と「柔軟性」へのどの程度の配慮が有効で可能なのだろうか。本稿の目的は,地方の中小企業が,少子高齢社会の下での多様な人材を活用しながら要員確保していく方策を考えるために,育児・介護など家族ケアのために時間的制約をかかえる従業員の労働時間管理のあり方を検討することにある。まず,労働政策研究・研修機構の『調査報告』が指摘する労働時間面での両立条件について整理し,つぎに,高知県内企業の調査から,従業員の育児・介護についての把握の状況と,それらの従業員を対象とした労働時間管理施策の導入の状況,そして育児・介護中の従業員の活用に関する課題について調査結果の検討を行う。そして,家族ケアとの仕事との両立に取り組む高知県内外の企業事例から,労働時間管理の要点を探る。最後に,家族ケアのなかでも,これからの喫緊の課題である介護と仕事の両立に関して,労働時間管理の観点から地域の中小企業が取り組むべき課題について検討する。Ⅰ労働政策研究・研修機構の『調査報告』が指摘する労働時間面での両立条件介護をかかえた労働者へのアンケート調査をまとめた労働政策研究・研修機構の調査報告によると,仕事と介護の両立が可能となる労働時間面の条件は,1高見具広「仕事と介護の両立に関する労働時間面の課題」『仕事と介護の両立』労働政策研究報告書No.170,労働政策研究・研修機構(JILPT)2015年。