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概要

112

高知県企業における多様な人材活用のための労働時間管理49第1に,週実労働が「40時間以内」であること,つまり,残業のない働き方であること,第2に,出退時刻の柔軟な設定を可能とする「フレックスタイム制度」があることが,就業継続割合を高めていること2である。さらに,この報告は,就業時間中の「中抜け」が可能な場合に介護期の就業割合が高く,「中抜け」が可能になる要件は「緩やかな時間管理」であることを示し,その上で,所定時間において「外勤が多い仕事で所定時刻はまちまち」である場合,または「自分の都合で決めることができる」場合に「中抜け」が容易であり,「厳格な労働時間管理」,つまり「毎日同じ所定時刻」「交替制勤務等で日により異なる所定時刻」では「中抜け」が容易ではないこと3を示している。そして,「緩やかな労働時間管理」が実効性を発揮するには,「『仕事の裁量性』が担保されている必要」4があると調査結果を用いて示している。結論として,仕事と介護の両立には,労働時間の「長さ」と「柔軟性」からの観点が重要であり,労働時間管理に求められることは,1時間外労働の削減,2出退時刻を柔軟にする「フレックスタイム制度」の整備,3「中抜け可能であること」を保証する「仕事の裁量」(進捗管理など,一定の裁量(時間的柔軟性))を働く側がもつことであるとし,そのために「一定期間の成果をもって管理」することの有効性についても示唆している5。このことは,地方の中小企業にもあてはまるだろうか。中小企業において,介護と両立するために,どの程度の労働時間の長さと柔軟性への配慮が可能で有効なのだろうか。次章において,この先行研究に照らし,筆者が2014年に高知県内の企業を対象に実施したアンケート結果から,家族ケアと仕事の両立のための労働時間管理上の留意点について検討する。2345同,41-42ページ。同,42ページ。同,44ページ。同,90-92ページ。