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概要

112

4高知論叢第112号研究にならい以下のようにファミリービジネスを定義する。Family Firm(ファミリービジネス)とは,創業家一族および創業者一族が経営陣に入った法人が一定の株式を直接的,間接的に所有する経営,もしくは創業者一族が大株主ではなくなっても経営を実質的に支配権している企業を指す。その上でさらにファミリービジネスを以下のように区分する。?株式所有割合上位10人の中に創業者一族とその後継者,および創業者一族が経営陣に入った法人が含まれるが,有力な経営陣の中に創業者一族がおらず(取締役,監査役などにはいる場合を含む)経営は他者に委譲し社員がマネジメントする企業をOとする。?株式所有割合上位10人の中にはいないが創業者一族が株式の一定割合を保有し,創業者一族とその後継者および創業者一族が経営陣に入った法人が直接的,間接的に経営に関与している企業をMとした。?上場企業では株式大量所有の公表義務がある株式所有割合上位10人の中に創業者一族とその後継者,および創業者一族が経営陣に入った法人が含まれ,かつ会社の有力な経営陣(会長,社長)の中に創業者一族がいる企業をO&Mとした。F.F(ファミリービジネス)を以上の3つに類型化し,非ファミリービジネスであるN.Fの経営と比較した。さらにファミリーの株式保有割合,非ファミリービジネスも企業の性格や歴史によっていくつかに分類した。先行研究ではファミリービジネスの定量的研究が多く,中でもニューヨーク市場のデータによる研究が多い。日本の上場企業のデータによるファミリービジネスの研究は経営学からの接近が多い。日本の上場企業に関するファミリービジネス研究は倉科(2003)とJose Alloucheらによる共同研究(2008)がある。その他,Takuji Saito(2008)による日本の上場企業を比較した研究がある。同論文は1990年から1998年にかけてのF.Fの動態を分析した。これら先行研究の多くは,筆者と同様にF.Fを3区分し,N.Fと比較した経営の優位性を検討The Impact of Family Control on the Performance and Financial Characteristics ofFamily Versus NoN.Family Businesses in Japan: A Matched-Pair Investigation JoseAllouche, Bruno Amann, Jacques Jaussaud and Toshiki Kurashina Family BusinessReview 2008; 21倉科敏材『ファミリー企業の経営学』2003.7東洋経済新報後藤俊夫『ファミリービジネス:知られざる実力と可能性』(2012年)白桃書房入山章栄・山野井順一「世界のファミリー経営の潮流」『組織科学』48巻1号2014