ブックタイトル112

ページ
69/88

このページは 112 の電子ブックに掲載されている69ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

112

67論説田舎回帰解読覚書蕭紅燕自然復帰と田園生活への憧憬近年日本の本屋さんでは,農業本や田舎暮らしのノウハウ関連本が平積みとなって売行きがよく,静かな農業ブームのようだ。農業新聞などもしょっちゅう新規就農関連記事が紹介され,巷では農業や田舎暮らしにかなり熱い視線を向けており,半農半X的暮らしを実践する都会人も少なくない。また,東日本大震災以来,それまでの生活に疑問を持ち,思いきって田舎へ移住し,新規就農や農的な暮らしに方向転換する動きも目立つ。実際,友人知人たちの中にも,半農半コンサルタント,半農半植物研究,半農半職人(陶工,布作家,大工や家具づくり,機織り,パン屋,製塩などの職人),半農半アート,半農半店主(喫茶店,カフェ,食堂,レストラン,農宿,宿屋経営など),半農半釣人などと,枚挙に暇がないほど多種多彩の,その人にぴったり合ったあらゆる組み合わせが考えられる。こうした暮らし方や価値観の共通項はといえば,自力救済,自給自足ではないだろうか?わたしも微力ながらも,土佐地域文化叢書編集はじめ,現地調査,ゼミや卒論作成などのお手伝いを通して,学生や若者たちの自給自足的な生活への強い関心を常に体感している。近年,地域活性化,グリーンツーリズム,最近はさらに田舎暮らしやアグリツーリズム,田舎ビジネス,空き家政策関連テーマを卒論に取り上げたものが数多くみられる。今年の卒論発表会でわたしの割り当てられた会場だけでも,高知論叢(社会科学)第112号2016年3月