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田舎回帰解読覚書693位以下から10位までは岡山,福島,熊本,高知,富山,群馬,香川,鹿児島。四国では,香川が9位,愛媛,徳島は21位以下。そして,高知の人気上昇について,「豊かな自然や美味しい食べ物,趣味で釣りができるなど,具体的な田舎暮らしを提案しており,理想的な田舎暮らしをイメージできたからでは」とのこと。この記事を読んで,実際,ムラ住まいの筆者は想わず同じ田舎在住の友人とフレンドリー顔見合わせて苦笑した。傍目には「高知は人との距離が近く,友好的」にみえたまるかもしれない。しかし,偶に遊びに来る場合と定住とは,本人たちも村人たちも心構えが全然異なることを知らなければ,安易な移住は困惑と相互迷惑が起きることも少なくない。これも推測だが,香川への移住希望はおそらく関西方面との近距離によるところが大きい。高知の場合は,四国山脈にも遮られ,ある意味では文化の吹き溜まり的な地理環境にあって,四国他3県同様の21位以下が本来の“あるべき姿”ではないだろうか?そんな高知県への希望者急上昇はマスコミなどの影響が絶大であり,県挙げての「高知家」宣伝効果とアピール,県下各市町村が後押ししていることが決定的な要因となったようだ。実際,受け容れる側のムラ人たちにとって,物心両面の準備ができていないし,彼らの意識には,さほど変化が見られていない気がする。確かに農村部には人口減少が止まらず,いろいろ不便不都合な事態もあるだろうが,だからといって,どこの馬の骨か分からない者が自分たちのムラに移り住でくることへの抵抗が村人に強く感じられる一方,お上から,役場から言われて進められている移住促進政策だけあって,それなりに対応を迫られているのも事実のようだ。しかし,外来者の移住が果たしてどれだけ成功しているか?それは短期間に現れた数字ではなく,3年,5年,10年,20年,30年,さらに移住者1世だけでなく,2世というふうに長いスパンで世代を超えてじっくり追跡しなければ,移住者受入れ状況を的確に把握しきれないことが現地調査で明らかになった。事実,農村部に住みながら長年郷土史研究にも励まれる地元出身者の友人知人の多くは,近年の移住をあまり楽観視していない。「田舎でがんばっておら