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田舎回帰解読覚書71若者の田園志向派また,同じ2月の日本農業新聞に面白い記事が目に留まった。2015年,NPO法人ふるさと回帰センターは15日,農山漁村に暮らしたいと希望する来訪者調査の結果を発表した。2015年の移住相談件数が08年の調査開始以来,初めて2万を突破。2万1584件と14年(1万2430件)に比べて7割も増えた。特に20代,30代の希望者が急増しており,全体の3分の2が20~40代を占めた。都市から農山漁村に価値を見出す若い世代の田園回帰現象が明確にみられる。こうなると,移住者獲得は全国で争奪戦の様相を呈しており,受け入れには雇用や教育,医療の確保は必須条件ともいえる。人口が減少していく中で,公共サービスをどう維持していくかは大きな課題である。田舎で自活する若者たちに乾杯!このように近年,田舎への移住者,とりわけIターンが脚光を浴びるようになり,その活躍ぶりに目をみはるものがある。受け入れ先である農村部では,とりわけ若い人の移住を喜んでくれているようだ。人口社会学では,世帯構成に変化をもたらす4要因として転入,転出,出生と死亡が考えられており,移住の場合はまさに転入そのもの。移住類型として,わたしがまとめたのは次のとおり。1.IUJターン2.嫁ターンと婿ターン3.孫ターン4.県内移住5.外国籍の移住6.引っ越インターンし感覚移住7.完全移住と渡り鳥的(季節的)移住8.学生の田舎体験や休学生の一時的田舎暮らし9.その他近年の移住を把握するIUJターンも,巷ではすっかり定着している。Iターンの中にも,ざっくりいえば1.縁故のない異郷人2.嫁ターン3.婿ターンがある。ひんしゅくしなぜ嫁入り,婿入りという民俗語彙を用いないのか?!横文字の多用に顰蹙たくなる方もおられるだろう。長年民俗学の世界にも浸ってきたわたしが感じるには,婚家への嫁入りと婿入りや,漫画「サザエさん」のような妻方居住婚,