ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

被災地域における地域共生拠点と地域づくり 107(H マーク)もあり,物資は陸路で山道を通って運ぶことができる。特別養護老人ホーム「らふたあヒルズ」も福祉避難所であり,こらちのヘリポート(H マーク)は民間ヘリコプターで1回4~6人を輸送することができる。震災時の2日間で5機の民間ヘリコプターが使われ,22名が輸送された。35戸が高台移転することになった。現在は,この福祉避難所を拠点にして,東日本震災を教訓にしたヘリコプターを使った災害訓練や,子どもを含めた災害訓練がおこなわれている。2011年3月11日の発災時には,「つつみ保育園」の園庭では散髪がおこなわれていた。同年3月25日には保育所が再開した。その保育所が地域の拠点となっており,秋のライブには,100名程度の地域住民が集まる。仮設住居への保育園からのおすそわけも行われており,地域再生のための幸せの拠点となっている。「らふたあヒルズ」では,震災時に避難してきた人が施設のホールに約50人,廊下を含め約200人が収容されていた。当時はフロアや廊下にベッドが敷き詰められた。ペットボトル一本,ウインナー一本を分け合っていた。重症や心停止の方もいて,野戦病院のような状態になっていた。容態が悪化して3人亡くなられたが,「助けてくれ」という声が出なかった人もいる。2012年からは,災害協定により,NPO がヘリコプターで4~5機,飛来できるようになった(個人所有のヘリコプターをNPO が登録)。災害救助犬も出動できる。津波被害に遭ったが,それでも「海と共に」という気持ちを住民はもっている。津波前の避難訓練は実際には意味がなかったという。「らふたあヒルズ」は現在,60床が10名ずつのユニットに分かれ(計6ユニット),10名の利用者に対して5人の職員配置となり(標準的な介護保険施設では,利用者:職員は3:1の配置になっている),顔なじみの関係が大切にされている(ユニット・ケア)。特殊浴槽は6~7名分用意されており,居酒屋やバイキングに利用できるスペースもある。理容室の他,おやつ,カップ麺,パン等を買える「笑店」も開かれる。以下は,われわれとの質疑応答である。【学生との質疑】学生:部屋の模様はどのように決めたのか?