ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

108 高知論叢 第113号施設:アジア風,和風,洋風など,ユニットリーダーの考え,センスによる。学生:震災時に職員の連絡体制はとれたのか?施設:職員の連絡体制も取り決めていなかったし,携帯も連絡が取れなかったりするなかで,徐々に非番が集まってきた。利用者も徐々に不穏行動が見られるようになった。学生:震災前にしておいて役立ったことはあるか?施設:高台に施設を建てたのは利用者に海を見てもらいたかったからであり,避難所協定は役に立たなかったが,物資が優先的に来る。すべてが最優先されるので,福祉避難所の指定は受けておいた方がよい。消防団やPTA など,地域とのつながりがあったので,お願いしやすかった。そのような関係は何十年というサイクルで築かれてきた。津波で失ったものは大きいが,人のつながりなど,それ以後に失ったものも大きいので,それを取り戻すために何十年もかかる。避難訓練でおにぎりが出てくるのは,訓練というよりイベントである。ここまで津波が来るというリアルな想定(前提)をもって取り組むことが大事である。10の避難訓練で活きるのは2~3つ程度であり,訓練で助かる保障はない。学生:震災時に「ボランティアお断り」の掲示が施設にされたのはなぜか?施設:個人で怪しげなボランティアや,食べ物・寝床を得るためであったり,窃盗グループもある。学生:震災前の心得はどうあるべきか?施設:逃げることを徹底する。勤務中に津波が来た時は戻れない,という教育が大切。自分のことをまずは守る。揺れたら,逃げる(浸水想定区域)。今後,900世帯の公営住宅が整備される予定であるが,入居予定だった2~3割の方はすでに亡くなられている。景観形成が考えられているわけでもない。逆に,災害公営住宅は同じ構造,外観になっているので,認知症高齢者等にとっては,むしろ色分けした方が良いのではないか。盛り土を整備しても,建てる人は少ない。(高知のように)避難タワーを建てるだけではなく,日常生活機能も考える必要がある。こちらでは,高台に逃げる方がよいので,避難タワーを建てていない。