ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

被災地域における地域共生拠点と地域づくり 115ントの時は地域の人を招き,避難生活を共にするなかで,認知症に対する偏見が解消されていった。被災時に施設を1ヶ月くらい開放したが,感謝され喜んでもらえた。公民館が老朽化していたこともあり,「赤崎ホッとハウス」の設置により,住民と向き合うスタンスから,避難所生活を通じて共通の目標に向かって職員と住民が協力するように変わった。泊まれるようにシャワーも取り付け,徐々に地域に浸透していった。単なる地域の変化というより,共通の目標に向かって協力し達成した。「ホッとハウス」では,民生委員の会や運営推進会議が開かれ,高齢者自身が一つの社会資源として捉えられる。赤坂地区の学童と連携して,正月のしめ縄の結い方など,地域の高齢者が先生役になる。そのような関係やノウハウは,「お互いさま研究所」の設立につながり,野菜づくりなど,後生への伝承がめざされている。別の地域の方言を高齢者から子ども世代が学ぶこともある。子どもと一緒に高齢者が山や川に行き,大山椒魚を見ることができるスポットを教えたり,竹を切って流しそうめんづくりに取り組んだりしている。DCAT(Disaster Care Assistant Team)を作り,サバイバル用訓練にもここを利用している。この「ホッとハウス」は,「居場所ハウス」のように常時開いているわけではない。小規模多機能型居宅介護事業所(通所・訪問・短期入所のサービスを本人の希望やニーズに応じて自由に組み合わせて利用できる介護保険サービス)や認知症対応型居宅介護事業所(グループホーム)の運営推進会議は,このハウスで開いており,週1~3回活用している。今後,介護予防・日常生活支援総合事業の受け皿(要支援高齢者の通いの場)や認知症カフェとしての活用も考えられる。「居場所ハウス」が食堂的な環境であるのに対して,このハウスは公民館的な環境と言える。放課後児童クラブとしても使われており,敷地内でキャッチボールやバスケットボールの遊びをしに来る子どももいる。近所の子どもが高齢者と一緒に入浴するために来たりしており,幼少時から,認知症に対する偏見もなくなっていく。