ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

116 高知論叢 第113号【学生との質疑】学生:子どもの親からは,どのような声が聞かれるのか?施設:放課後児童クラブの時は親は仕事で参加できないが,夏祭りの時は参加してもらう。自分の子が高齢者と自然に話す様子に親は驚いている。イベントの時だけでなく,まず職員が子どもを連れてくる。とくに乳幼児のもつ力はすごい。ただ,保育所もあれば高齢者介護施設もある,というような複合施設ではなく,日常的に交流しなければ互いに響き合わない。一緒に暮らしを作ろう,というように頭の切り替えをしてもらう必要がある。たとえば,食の歳時記としての「ばっけ味噌(ふき味噌)」のように,季節に合った暦に即した生活をする。高齢者の「お絵かき文化」とは異なり,暦と共に生活する。一緒に作れなくなった高齢者も味を確かめることはできるし,ホタテの採り方のように知識もある。学生:この地域の独居高齢者の見守りは誰がしているのか?施設:仮設住宅住まいの方は支援員が,自宅住まいの方は近隣住民がおこなっている。仮設住宅には,長屋的な良さもある。学生:支援員は,何世帯を担当しているのか?施設:50世帯に一人の担当であるが,深いところまでは立ち入らない。孤独死が増えるのは,むしろこれからであり,災害復興住宅への移行プロセスの中で増えると思う。支援員のミッションは,中途半端である。仮設住宅でも高齢者のいる棟と子どものいる棟を分けている所があるが,それが共生と言えるだろうか。子どもは高齢者と一緒に入浴するのは違和感がなく,とくに祖父母と同居している子どもはない。教員:このような共生拠点は,地域づくり,コミュニティ再生につながるか?施設:復興はリーダー,若者だけではなく,高齢者から知恵をつけてもらうことにより,本当の地域力が付いてくる。たとえば,竈でご飯を炊くことにより,本当の豊かな生活を体験する。自分が生まれ育った地域をどれだけ好きになれるか。たとえば,私の同級生のほとんどは戻ってくる。祭りや町民運動会のために日帰りで戻ってくる。地元の祭りは先輩から受け継がれる。外から呼び込むというより,転出しても戻ってくる環境