ブックタイトル高知論叢

ページ
12/148

このページは 高知論叢 の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

高知論叢

10 高知論叢 第113号過半のシェアを押さえていた。ところが,近年では,関東の店舗増加率は全国平均を下回るようになり,2015年には店舗シェアが43%まで低下している。対照的に,この間急伸したのが,中国・四国ならびに九州・沖縄であり,とりわけ四国は,店舗数が4.2倍,販売額も3.7倍という激増ぶりである。つまり,大手コンビニ・チェーンにとって,これまでは人口が集中する首都圏を中心に大都市部で出店を繰り広げていたが,最近ではこれらの地域で店舗数が過密状態に至ったため,店舗密度の低い四国・九州を射程に収め,店舗の外延的拡大を進めている状況がうかがえる。2.コンビニ業界の再編成では,個々のコンビニ・チェーンは,現在はどのような戦略を進めているのだろうか。表2は,コンビニ資本上位10社の動向を表したものである。同表より,まず第1に,コンビニ業界の寡占状態が明瞭になってきた点が挙げられる。業界トップのセブン-イレブンを筆頭に,ローソンとファミリーマートの上位3社は,いずれも総店舗数が1万店台を突破し,店舗数シェアはあわせて73%,売上高シェアも76%と圧倒的である。中でも突出しているのはセブン-イレブンであり,店舗数のみならず,1店舗当たり平均日販が65.6万円と,他チェーンよりも10万円強も上回っており,2位のローソン以下を大きく引き離している。第2に,いずれのチェーンも,東京系の大資本による系列化が進んでいる点である。コンビニ形成の歴史的背景から,セブン-イレブンやサークルKサンクス,ミニストップ等のスーパー系と,山崎製パンやセコマ,ポプラといったメーカー・卸売業系が上位を占めていることに変わりはない。しかし,百貨店や総合スーパーの業績悪化を背景に,ローソンが2001年にダイエーから三菱商事へ,ファミリーマートも1998年に西友から伊藤忠商事へと親会社の交代が起きた結果,東京に本社を置く総合商社系が上位に出現するようになった24。これら企業は,セブン-イレブンとともに,単なる小売事業にとどまらず,原材24 ちなみに, 大手総合商社との関係については, セブン-イレブンも三井物産と包括的業務提携を結んでいる。