ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

被災地域における地域共生拠点と地域づくり 1192016年8月から秋にかけて,市内の復興住宅ができるので,そちらへの移行が進む。診療所内には,カラオケ等の交流スペースがあり,土日も開かれている。訪問当日の午後も「お茶っ子」が開かれる。「はつらつ健康教室」には,12~13名の人が通っている。復興住宅に移ってからも,ふれあいを求めて,やって来る人もいる。平田診療所は,今のところ撤退する予定はないという。復興住宅の中でも共生ケア,地域包括ケアを進めていくことになる。⑭ サポートセンター「さんそん」(大船渡市)大船渡市三陸町には,仮設型のサポートセンター「さんそん」が現在も活動を続けている。公営住宅が建ち,そちらに移る人もいる。高台移転した人も20~30軒ある。現在も仮設住居には21世帯が入居しているが,住民は実質的には10名前後であり,その他は地域おこし協力隊など,外部からの支援者等である。震災後にこの仮設住居前の広場で始められたラジオ体操は現在も続けられており,公営住宅に移った人も10名前後,ラジオ体操をしに来ている。生活の再建・見通しが立たない人もいる。このサポートセンターもいつまで残るのか,2017年度も予算がつくのか,不確かな状況にある。仮設の小規模多機能ホームが併設され,今も施設は残っているが,新しい施設が他にできたので,ここは使われていない。グループホームも移転した。仮設住居広場側の集会所は現在も残っており,社会福祉協議会が来てイベントをおこなっている。訪問当日に来ている人の半分程度は仮設住居住まいであり,残りの半分程度は公営住宅からここに来ている。お話を聞かせて頂いた1名(女性A さん)は,昨年(2015年)12月に仮設住居から公営復興住宅に移っている。もう1名(女性B さん)は,5年間ずっと仮設住居住まいである。同じ集落出身の人と一緒に暮らしており,出身集落が異なる人とも顔見知りとなり親しくなった。A さんとB さんは,震災前からあいさつする程度であったが,ラジオ体操を通じて,より親しくなった。ラジオ体操は朝9時から始まる。仮設集会所はあまり使われなくなったが,子どもの勉強会がおこなわれており,支援員が教えている。支援員がいる平日は,