ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

126 高知論叢 第113号会社諮問会議によるヘッジ会計の複雑性の低減の提案をとりあげ,この提案が会計基準として形成されていく過程を考察し,その過程から金融商品会計における複雑性の低減の問題点を明らかにした。また,アメリカ会計制度における一般に認められた会計原則と非公開会社のための会計基準設定の関係について考察することで,アメリカの会計制度の変化について検討を行うものである。1.非公開会社諮問会議(Private Company Council)の設置アメリカの会計基準設定主体である財務会計基準審議会(Financial AccountingStandards Board : FASB)を監督,管理し,資金調達を行うFASB の母体組織である財務会計基金(Financial Accounting Foundation : FAF1)は,2012年5 月,非公開会社諮問会議(Private Company Council : PCC)の設置を承認した。PCC は,非公開会社の会計基準設定プロセスを改善する新たな主体(body)であり,FASB の諮問機関(the primary advisory body)として位置づけられている2。PCC は,「非公開会社の意思決定フレームワーク(the PrivateCompany Decision-Making Framework)を用いて,非公開会社の財務諸表利用者のニーズに対応するために,一般に認められた会計原則(GenerallyAccepted Accounting Principles : GAAP)の代替案をFASB に助言することを目的としている。このPCC による助言は,FASB の会計基準設定プロセスの中で検討され,最終的にFASB による承認をもって会計基準として公表される3。その後,適用対象となる非公開会社は,必要に応じて,GAAP またはPCC による代替基準のいずれかを選択することとなる。? PCC の手続き(Operating Procedures)PCC のメンバー(理事)は,非公開会社と関係のある10名(2017年現在)とリエゾンメンバーとなるFASB メンバー1 名から構成されており,PCC が検討したGAAP の代替案は,PCC メンバーの3 分の2 の賛成をもって承認され,FASB に提出される。