ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

アメリカにおける非公開会社の会計基準設定プロセスが金融商品会計基準の改善に与える影響 127FASB に提出されたPCC の代替案は,FASB メンバーの過半数の賛成をもって一般からのコメントを得るために公表され,それらのコメントをもとにPCC は代替案の再検討を行い,最終案を投票によって決定し,FASB に提出する。FASB は,PCC から提出された最終案について審議を行い,最終的に代替基準とするかについて決定を行う。FASB がPCC から提出された代替案を否決する(non-endorsement)場合,FASB の議長はその理由を合理的な期間内にPCC の議長に書面で提出し,この書類はFASB の公式記録(publicrecord)となる。このように非公開会社のための会計基準は,PCC によってGAAP の代替案として検討され,その代替案の公表,代替基準としての最終決定はFASB が行うことで,非公開会社のための会計基準はGAAP と異なる手続きによって決定されたものではなく,非公開会社のための会計基準もGAAP の一部として決定,公表されていることを非公開会社の財務諸表利用者に示している。また,この手続きによって,適用対象となる非公開会社の財務諸表作成者に対しても,非公開会社のための会計基準がGAAP と異なるものではないことを示している。2016年,FAF によるPCC の3 年間のレビューを受けて,PCC の手続きの改定が行われた。この改定によって,PCC は主にFASB が専門的なアジェンダ(technical agenda)として現在検討している(active)のプロジェクトについて助言することとなった4。また,PCC の専門的なアジェンダは,FASB から2 名( 1 名は審議会メンバー,1 名はテクニカル・ディレクター)とPCC の議長および議長が指名したPCC メンバーで構成される小さなグループ(PCCTechnical Agenda Consultation Group)で協議されることとなった5。さらに,非公開会社のステークホルダーとのコミュニケーションの改善として,タイムリーで透明性の高い方法での情報提供を確実に行うことが求められた6。? 非公開会社の意思決定フレームワークの目的と考え方の基礎2013年12月,FASB とPCC は,「非公開会社の意思決定フレームワーク非公開会社の財務会計と報告の評価のガイド」(以下,PCC フレームワーク)