ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

アメリカにおける非公開会社の会計基準設定プロセスが金融商品会計基準の改善に与える影響 129ワーク(GAAP のための概念フレームワーク)と同じく情報利用者の目的適合性を論理の中心とすることで,GAAP としての全体的な論理整合性を保ちながらも,非公開会社において情報利用者が限定されることや経営者へのアクセスといった特定の条件から利用者の目的が異なるとして,GAAP 内に例外規定を設ける必要性を導き出している。しかし,情報利用者の目的適合性を重視した結果,非公開会社の財務諸表作成者が求める解決と異なる結末となる可能性があり,この場合,財務諸表作成者は非公開会社のための会計基準を用いないという選択ができる。このため,PCC の検討において実質的に重視されるのは,コストや複雑性の低減となると考えられる。2.非公開会社におけるヘッジ会計の複雑性の低減FASB は,PCC の提案をうけて,2013年7 月,公開草案「デリバティブとヘッジ(トピック815),特定の変動金利を受け取り,固定金利を支払う金利スワップの会計」(以下,公開草案)を公表した。その後,公開草案に対するコメントについてPCC において審議が行われ,PCC の最終案がFASB に提出された。それをうけてFASB は,2014年1 月に会計基準のアップデート(AccountingStandards Update : ASU)No.2014-03「デリバティブとヘッジ(トピック815),特定の変動金利を受け取り,固定金利を支払う金利スワップの会計-簡略化したヘッジ会計アプローチ」(以下,ASU No.2014-03)を公表した。? 公開草案公表の経緯とPCC の提案内容PCC は,多くの非公開会社の財務諸表作成者と主要な利用者(とくに貸手)から,金利スワップの会計処理についての懸念が寄せられたため,変動金利を受け取り,固定金利を支払う金利スワップについての現行GAAP である,FASB が公表した「コード化された会計基準(Accounting StandardsCodifi cation : ASC)トピック815 デリバティブとヘッジ会計」について,PCC フレームワークによって評価を行った(evaluate)。この評価は,非公開会社のステークホルダーからの,変動金利を受け取り,