ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

132 高知論叢 第113号? ASU No.2014-3における複雑性の低減2014年1 月,FASB は,公開草案に対する意見をふまえてPCC の審議をへたPCC の最終案を審議し,ASU No.2014-3として公表した。ASU No.2014-3は,ASC トピック815「デリバティブとヘッジ」の内容を修正,追加するものとなっている。① 適用範囲ASU No.2014-3は,公開会社,非営利実体,トピック960から965に規定される年金制度を除くすべての実体に適用される。ただし,公開草案の検討の結果,金融機関を適用対象から除くことを決定した。これは,金融機関の多くには,会計実務を行う資源があり,一般的に多くのデリバティブを公正価値で記録していることから,特定の金利スワップにのみ代替的な会計処理方法を認めることは混乱をまねくと考えられたためである25。② 簡略化したヘッジ会計アプローチの適用公開草案で提案された2 つの方法のうち,複合商品アプローチではなく,簡略化したヘッジ会計アプローチを適用することが決定された26。簡略化したヘッジ会計アプローチは,変動金利を受け取り,固定金利を支払うスワップという取引に限定して適用され,事後測定において公正価値(fair value)ではなく,決済価値(settlement value)を用いることができる27。決済価値は,評価技法(valuation technique)を用いて計算された,スワップの残存する見積キャッシュ・フローの現在価値であり,不履行リスク(nonperformance risk)を調整しないという特徴がある28。簡略化したヘッジ会計アプローチは,パラグラフ815-20-25-131D のすべての条件に合致した場合に金融機関を除いた非公開会社に適用される29。【パラグラフ815-20-25-131D に示される条件】a. スワップの変動金利と借入の変動金利の両方が,同じインデックスと金利更改期間を基礎としている。(例えば,スワップと借入の両方が,1 ヶ月のLIBOR や3 ヶ月のLIBOR を基礎としている)。この条件を満たすために,実体は,パラグラフ815-