ブックタイトル高知論叢

ページ
135/148

このページは 高知論叢 の電子ブックに掲載されている135ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

高知論叢

アメリカにおける非公開会社の会計基準設定プロセスが金融商品会計基準の改善に与える影響 13320-25-6A に示されるベンチマーク金利に限定されない。b. スワップ期間が,通常よく用いられる(typical)ものであり(言い換えると,スワップは,一般的に「プレインバニラ」スワップと考えられる),借入が同等の(comparable)フロアーやキャップを持たないかぎり,スワップの変動金利のフロアーまたはキャップがない。c. スワップと借入の再評価(repricing)および決済日が合致している,もしくは数日(afew days)の違いしかない。d. 開始時(つまり,デリバティブが借入の金利リスクをヘッジする時点)におけるスワップの公正価値がゼロまたは,ほぼゼロ(near zero)である。e. スワップの想定元本(notional amount)は,ヘッジされる借入の元金(principalamount)と合致している。この条件を満たすために,ヘッジされる借入の金額は,借入の元金の総額よりも少なくてもよい。f. スワップの期間中(または,将来開始するスワップ(forward starting swap)が対象とするスワップの有効期間)に,借入から生じるすべての金利の支払いが,ヘッジされる借入の元金の全部または借入の元金と比例して,ヘッジとして指定されている。パラグラフ815-20-25-131D は,ヘッジ対象の借入とヘッジ手段となる金利スワップの対応を重視し,基本的なスワップ取引に対して適用することを想定している。また,スワップの開始時における公正価値をゼロと見積もることで実務的な負担を軽減するとともに,ベンチマーク金利以外の利用を認めることで広範なヘッジ会計の利用を可能としている。また,将来開始する変動金利を受け取り,固定金利を支払うスワップについても,スワップされる予想金利支払いの可能性が高い(probable)場合,簡略化したヘッジ会計アプローチを適用できるとしている30。③ 簡略化したヘッジ会計アプローチによる実務負担の軽減ヘッジ会計の適用において,実務負担が大きいと考えられたのが,ヘッジ開始時における文書化(documentation)とヘッジの非有効部分の想定(assume)であった。簡略化したヘッジ会計アプローチでは,GAAP が要求する(パラグラフ815-20-25-3によって)文書化は,ヘッジ開始時に必ずしも必要ではなく,ヘッジ契