ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

12 高知論叢 第113号料調達の段階に至るまで商品連鎖を掌握する方向性を強めており,おにぎりやサンドイッチ,弁当等における専用工場を通じたオリジナル商品の開発・製造や,カット野菜や惣菜にみられる他業態の取り込み,健康志向を意識した新たな消費トレンドの追求等に力を入れているのが特徴的である。第3に,コンビニ業界の分極化が進んでいる点である。2015年のチェーン別店舗数を見ると,サークルKサンクスを除く上位5社が店舗数を大幅に伸ばす一方,スリーエフやポプラをはじめとするそれ以下のチェーンでは店舗数が絶対的に減少しているのが分かる。また,表掲は省略したが,2015年の営業成績についても,上位3社は増収増益を記録する一方,サークルKサンクスとミニストップは増収減益,それ以下は減益となっており,下位のチェーンは軒並み苦境に立たされている。このように,コンビニ業界全体で成長が鈍化し,大手資本と中堅・中小資本との間で業績格差が生じる中,業界内部での統合・提携等の再編成が急速に進められるようになっている25。その1つが,大手同士の大規模合併である。2001年には,サークルKがサンクスを子会社化し(3年後にサークルKサンクスへ商号変更),2009年にはファミリーマートがエーエム・ピ-エム・ジャパンを買収した。さらに,2016年には,サークルK とサンクスを保有するユニーグループとファミリーマートとが経営統合に合意し,ファミリーマートへ屋号が一本化されることになった。これにより,ファミリーマートはローソンを抜いて業界2位へ躍進する反面,サークルKサンクスでは不採算店舗1000店の閉鎖も同時に発表され,現場では動揺が広がっている26。他方,3位に転落したローソンは,その直後に三菱商事による完全子会社化の方針が発表され,世界的な食料調達や専用工場の増加,金融・電力小売サービスの展開等を通じて巻き返しを図ろうとしている27。加えて,大手による中堅チェーンの包摂や地方展開の動きも顕著になってい25 「変わるコンビニ業界地図 ファミマ,セブンに挑戦」『高知新聞』2015年10月17日付。26 「サークルKサンクスがファミマとの統合前に大量閉鎖の裏事情」『ダイヤモンド・オンライン』2016年8 月22日(http://diamond.jp/articles/-/99452)。27 「三菱商事,ローソンを子会社化 TOB 検討」『日本経済新聞』2016年9月15日付。