ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 13る。2014年には,ローソンが地方チェーンのポプラやスリーエフと資本・業務提携に乗り出す一方,翌年にはファミリーマートがココストアの買収に乗り出した。さらに,コンビニ業界の枠を超えて,各地の地場スーパーとの提携が進められている点も見逃せない。例えば,ローソンが沖縄の地場スーパー・サンエーと共同出資でローソン沖縄を設立し,地元限定品の開発に着手する一方,ファミリーマートは,5県で地元スーパーやJA,生協とコンビニ・スーパー一体型店舗を登場させている28。このように,セブン-イレブンの独走に対してローソンとファミリーマートが追撃を試みる中,中堅コンビニの大手資本への包摂や地場スーパーを巻き込んだ業界の再編劇が,現在繰り広げられている。3.コンビニの現場:フランチャイズ契約と「本部-加盟店関係」一方,大手チェーンが拡大していく上での大きな鍵は,本部と加盟店オーナーとの間で結ばれるフランチャイズ契約である。今度は,店舗増殖の手段としてのフランチャイズ契約の内容に注目してみよう。大手コンビニでは,表2の中にある売上高内訳が示すように,本部直営店はごくわずかであり,大半がオーナーとのFC 契約で占められている。したがって,店舗拡大には,経営を担ってくれるオーナーを集めなければならず,本部は各地でオーナー募集をかけて説明会を開催し,参加者にフランチャイズの仕組みを紹介しながら,知識・経験がなくても経営者になれることをアピールするわけである。こうした勧誘を通じてコンビニ経営への挑戦を決断したオーナー候補は,開業時出資金や研修費,開業準備手数料等を用意した上で,10~15年間のフランチャイズ契約を締結することになる。なお,各社の契約概要を示したのが,表3である。加盟店契約には,大きく分けて,店舗の土地・建物等を加盟店オーナーが自前で用意するA タイプと,28 JA とは,2014年からA コープとコンビニとの一体型店舗を出店しているが,2016年には全農がFC 契約を結び,全国の直売所でコンビニとの一体型店舗を増やしていく方針を打ち出した(1号店は,愛媛県東温市。「JA の農産物直売所 ファミマ,一体型店舗」『日本経済新聞』2016年4月25日付)。また,生協とは,みやぎ生協が宮城県七ヶ宿町と三者で協定を結び,一体型店舗の展開方針が発表された(「生協,ファミマと一体店舗宮城,生鮮食品も販売」『日本経済新聞』2016年7月28日付)。