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概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 17詰まる可能性も指摘されている32。したがって,コンビニ経営の多くは持続的・安定的な経営が困難であり,オーナーの中には本部の指導に抵抗する者や,経営を続けられずに閉店を決意する者も表れることになる。表4は,大手4社の契約更新率の推移を示したものであるが,セブン-イレブンを除けば,更新率は年々低下し,いずれも8割を下回る状態になっている。その結果,先の表2が示すように,2015年の既存店の退店数は新規出店数の2~5割と,いわば「多産多死」状態の中でコンビニが全国に浸透しているのである。中には,契約期間を満たさずに契約解消を求めるオーナーも出現しているが,その場合には本部からオーナーに売上2ヵ月分の莫大な違約金が請求されるため,表5が示すように,本部-加盟店間で訴訟も発生している。同表によると,大手4社の訴訟件数は過去5年間に42件発生しており,うち加盟店側が24件,本部側が18件に及んでいる。32 「(特集)コンビニが分水嶺に立った日」『販売革新』2016年5月号,42頁。表4 コンビニ各社の契約更新率の推移単位:%セブン- イレブンローソンファミリーマートサークルK15年更新 30年更新 サンクス2012年度93.5 95.2 82.8 75.5 78.72013年度95.8 95.5 78.3 74.3 75.72014年度94.2 96.0 79.4 70.4 74.3注:契約更新率=契約更新店舗数/契約満了店舗数×100。出所:各社フランチャイズ契約の要点と概説(2015年版)より作成。表5 コンビニ各社の訴訟件数加盟店側提訴本部側提訴セブン-イレブンローソンファミリーマートサークルKサンクスセブン-イレブンローソンファミリーマートサークルKサンクス2010年度7 3 1 1 0 0 3 22011年度2 0 0 1 0 0 2 32012年度2 1 0 0 0 0 1 22013年度2 3 0 0 0 0 1 12014年度1 0 0 0 1 0 1 1出所:各社フランチャイズ契約の要点と概説(2015年版)より作成。