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概要

高知論叢

18 高知論叢 第113号加盟店側のこうした不満の広がりに対して,チェーン本部側も,次第に事態を無視できなくなっている。その一例として,公正取引委員会の排除措置命令を受けたセブン-イレブンが,廃棄ロスの15%を本部が負担するようになったのを皮切りに,ローソンやファミリーマートもそれに追随するといった動きが挙げられる。しかし,こうした対応策によって,加盟店の発注が増えれば本部に増収効果がもたらされるとともに,新しい契約ではロイヤルティの引き上げという「ムチ」も繰り出される等,加盟店支配に基づく本部の収益最大化路線に大きな変更はないといえる33。以上のように,チェーン本部の指揮監督下で,加盟店オーナーは自立的経営から疎外され,日々の経営・生活では大きな苦労を強いられている。反面,現場でのこうした状況とは対照的に,本部は店舗展開のスクラップ&ビルドを通じて全国展開を着々と進め,ロイヤルティを通じた本部・東京への利益還流とチェーンの肥大化が進行している。では,こうしたコンビニの全国浸透は,出店先の各地域にどのような影響を及ぼしているのだろうか。次章からは最後発地域である高知県に焦点を当て,具体的に検討してみたい。Ⅱ 高知県におけるコンビニの浸透過程1.高知県の商業構造とコンビニの位置関係最初に,高知県内における食品小売業全体の業態別推移を,表6より概観しておこう。まず,店舗数から見ていくと,1994~2014年の20年間でトータルでは約1万3000店から6500店へと半減しているのが容易に分かる。とりわけ減少数が多いのが食料品専門店ならびに中心店であり,20年間で65%もの落ち込みを見せている。他方で,この間増えてきたのが,食料品スーパーと終日営業のコンビニである。特にコンビニについては,同期間でおよそ40倍まで激増しているのが目立っている。加えて,1994年時点では捕捉のなかったドラッグストアが統計上のカテゴリーとして登場し,新たなライバルの登場に伴って小売業33 「(特集)コンビニを科学する」『週間ダイヤモンド』2016年10月29日号,61頁。