ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

24 高知論叢 第113号と労働市場に影響を与える状況が浮かび上がってきた。では,地理的に見ると,コンビニは県内でどのように拡がってきたのだろうか。表8は,NTT『タウンページ』を素材に,高知県内のコンビニの分布を過去20年間フォローしたものである。同データは,24時間営業の大手コンビニ・チェーンのみならず,ボランタリー・チェーンの店舗や家族経営の「自称コンビニ」も含まれており,行政や業界が公表する統計データよりも幅広く捕捉されていると考えられる。そこで,「広義のコンビニ」という観点から県内の動きを追ってみると,1995~2015年の間にコンビニ店舗数は103店から298店へ,実に3倍も増加していることがまず指摘できる。と同時に,市町村別に下向してみると,コンビニ出店地域は,1995年の18自治体から2015年の29自治体まで拡がっており,今やコンビニ不在地域は,県東部の馬路村・東洋町・安田町,県北部の大川村,県西部の三原村のわずか5自治体に過ぎない。その意味で,他地域に比べて大手コンビニの影響力の比較的弱かった高知県においても,コンビニという小売形態が県内で浸透してきたことがうかがえる。とはいえ,コンビニの普及は,県内一律ではなく,きわめて不均等な形で進んできたことにも留意する必要がある。同表より,出店数を市町村ごとに比較すると,人口・産業の集積する県中央部(高知市,南国市,香美市,土佐市,須崎市)ならびに県西部の中心都市(四万十市)において店舗が集中しており,上位6自治体の店舗数シェアは常に8割弱を占める等,人口の県内シェア(68.2%)以上にその偏在ぶりは明らかである。中でも,高知市は,県全体の店舗数の過半が集中する他,同市東隣の南国市(20年間で6倍)と香美市(同3.5倍),西隣の土佐市(同4.3倍)でも急増を見せる等,県都・高知市を核にコンビニが外延的に拡大してきた様子が読み取れる。さらに,表9より,各地域のコンビニ店舗密度を測るために,店舗数と域内人口とを照らし合わせてみよう。県全体では,コンビニ1店舗当たり人口は,1995年には約8000人であったのが,2015年には2500人弱にまで大幅に下落しているのが注目される。中でも,コンビニが過半のシェアを占める高知市では,この間5760人から2200人弱まで低下しており,県平均よりも店舗密度が高いことが見て取れる。コンビニ業界では,出店余力のある人口規模は1店舗当たり