ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

26 高知論叢 第113号売場面積124㎡のコンビニを高知市内に開店し,81年には系列の高知通商を通じてミニスーパーをオープンさせた36。続いて,県内最大手のサニーマートが,1980年にコンビニ出店計画を発表し,82年に売場面積100㎡のスパー御座店をオープンさせた37。いずれのスーパー資本も,第2種大型小売店舗に該当する店舗面積500~1500㎡の中型店を展開していたが,1979年施行の改正大店法の規制強化で,これら中型店の出店も規制の網にかかることになった。そこで,スーパー事業の補完的役割として,大店法の対象外で小回りのきく店舗の出店に乗り出したのが,これら地場スーパーのコンビニ事業着手へ至る大きな背景であった38。このような中,高知県内で次第に存在感を発揮していくようになるコンビニが,上記サニーマート系列のスパーであった。サニーマートは,1980年にボランタリー・チェーンの全日本スパー本部に加盟後,社内にコンビニエンス部門を新設するとともに,高知市内に配送センターを整備する等,同社における新たな戦略の柱としてコンビニ事業に本格的に取り組んでいった39。日常生活の必需品を中心に3000品目を揃え,午前7時から午後11時までの年中無休の店として,スパーは「家庭の冷蔵庫代わりに」をアピールする地場コンビニとしての地位を次第に確立していったのである40。もっとも,改正大店法以降のこうしたコンビニやミニスーパーの出店ブームは,地元の小規模商店主にとっては新たな脅威をもたらす存在でもあった。そのため,高知商工会議所の「大型店対策特別委員会」では,高知市内への大型店出店対策とならんで,コンビニも俎上に載せられ,法的規制を免れて過当競争を続ける存在として警戒されるようになった。また,このような背景から,行政側でも,コンビニ等の出店の際には各市町村へ事前届け出を求める行政指36 「高知スーパー,コンビニに乗り出す」『日経流通新聞』1979年12月13日付,「ミニ出店志向へ 高知市のスーパー業界相次ぎ計画」『高知新聞』1981年12月3日付。37 「県下もミニスーパー時代《サニーマート》80カ所の出店計画」『高知新聞』1982年3月7日付。38 「ミニ出店志向へ 高知市のスーパー業界相次ぎ計画」『高知新聞』1981年12月3日付。39 「サニーマート“便利店”出店へ」『高知新聞』1980年10月15日付。40 「コンビニエンスストア スパー御座店」『高知新聞』1982年9 月2 日付。