ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 27導を高知県が課すようになり,それ以後こうした新業態の出店動向が注視されていくようになっていった41。では,当時のコンビニ地図は,どのような形をとっていたのだろうか。表9は,高知市内のコンビニ出店動向を,チェーン別に整理したものである。これによると,1995年時点で最も多かった店舗はスパーであり,全体の半数近くを占めていた。他には,サンライフやオアシス,マイショップといった中堅のボランタリー・チェーンが上位を占める一方,大手チェーンは当時は皆無であった。加えて,注目すべきは,「その他」の多さである。この中には,チェーンに含まれない個人経営の酒販店や弁当・惣菜店等が,メインの営業の延長線上でコンビニを名乗る「自称コンビニ」が含まれていた。こうした単独店を含め,1990年代半ばまでは,いわば「地場コンビニ」が主流の時代であったと判断できる。あわせて,この時期の出店エリアについても確認しておこう。表10は,コンビニ出店エリアの大街区域別推移を纏めたものである。1995年の時点では,都心周辺の江の口,潮江,旭街とともに,市内西端の朝倉地区と南端の長浜地区において数多く出店していたことが読み取れる。いずれも市内では人口の多い郊外住宅地であることから,当時は,スーパーの出店が乏しい市内周辺部を中心にコンビニが出店する傾向があったといえる。(2)大手資本の進出と「第1次コンビニ戦争」:1990年代中盤~2000年代こうした「地場コンビニ」中心の構造が急速に崩れていったのが,1990年代後半である。まず,1996年にローソンが高知事務所を開設して市場調査を開始し,翌年7月には全国46番目の出店に漕ぎ着けた。初出店時は,県内5店舗(うち高知市内2店舗)でスタートしたが,いずれの店舗も県内では珍しい24時間営業で,3年後には80店まで店舗を拡大する計画が発表されたことから,県内流通業界にとっての「黒船」襲来と受け止められた42。また,ローソン初出店41 「規制外スーパーの展開,大型店と並び問題化 高知商議所特別委で対策論議」『高知新聞』1981年4 月23日付,「大型店規制の網逃れてミニスーパーどっと 中堅・地方が先行」『日本経済新聞』1982年3 月25日付。42 「大手コンビニ,ローソン県内進出か」『高知新聞』1996年9 月5 日付,「ローソン,県内5 店舗オープン」『高知新聞』1997年7 月10日付。