ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

1論説コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済   高知県の事例を中心に   岩  佐  和  幸はじめに今日,様々な意味で,コンビニエンスストア(以下,コンビニ)に社会的な関心が集まっている。1970年代の本格出店以来,小商圏における24時間営業と多品種・多機能化を武器に,コンビニは小売業界で急速に浸透してきた。特に2001年には,かつての「流通革命」の旗手・ダイエーの売上高をセブン-イレブンが凌駕したことが,大きな話題になった。もはや都市の生活空間は,各チェーンのロゴ看板の林立が日常的な風景になっており,「生活総合サービス業」への進化とともに,「コンビニ依存社会」と称されるほど,コンビニはプレゼンスを高めている1。しかも,「買い物難民」を模した「コンビニ難民」という呼称に象徴されるように,コンビニの店舗は,私的資本の施設でありながらも社会インフラに近い役割を果たそうとすらしている2。その一方で,こうした成長の原動力となっているのが,本部と加盟店との間で結ばれるフランチャイズ(FC)契約と,それに伴う各地における店舗の増殖である点にも,目を向けなければならない。コンビニ本部は,このフランチャイズ・システムを基盤にしながら,個々の店舗からロイヤリティを環流さ高知論叢(社会科学)第113号 2017年3 月1 「(特集)コンビニ依存社会ニッポン」『中央公論』第129巻第11号,2015年11月。2 竹本遼太『コンビニ難民    小売店から「ライフライン」へ    』中公新書ラクレ,2016年, 鷲巣力『公共空間としてのコンビニ    進化するシステム24時間365日    』朝日新聞出版,2008年。