ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

28 高知論叢 第113号の4ヵ月後には,松山市に本社を置くサンクス西四国によるサンクスの出店も開始され43,3年以内に30店舗出店という目標が公表された。さらに,翌年5月にはサークルKが新規出店した他44,2004年にはファミリーマートも高知市内へ出店し,2年余りの期間に四国全体で200店舗体制にする方針があわせて伝えられた45。では,なぜこの時期に大手コンビニの相次ぐ出店が生じたのだろうか。まず第1 に,高速道路の延伸に伴う物流条件の変革が挙げられる。高知自動車道は,高知県東部の大豊-南国間に続いて,1992年に四国山地を貫く愛媛県川之江-高知県大豊間がようやく開通したことで,瀬戸内側と太平洋側とを縦断する交通ルートが誕生することになった。これにより,工場や配送センターが立地する瀬戸内側から高知県内へ向けた商品輸送が容易になり,ローソンは香川県の物流センターから,サークルKも愛媛県新居浜市から,1日3便体制で各店舗へ配送することが可能になった46。また,当初は岡山県から商品を供給していたため,配送がネックで出店が進まなかったファミリーマートも,2004年には香川県観音寺市に配送拠点を設置することによって,こうした問題をクリアしていった47。もう1つは,コンビニ特有の集中出店方式である。一般にコンビニ・チェーンは,50店以上の店舗数がなければ,配送・弁当工場の採算がとれないといわれているため,出店エリアをむやみに拡げて物流コストを増やすのではなく,一定エリアでの集中出店を通じて商圏を面的に支配する戦略を採っている48。したがって,1994年時点で四国3 県に152店も出店していたローソンが,高知県内では皆無であったのは,同社の担当者が語るように「既存エリアで点から43 「高知市にきょう2 店開店,コンビニの『サンクス』」『高知新聞』1997年11月7 日付。44 「サークルケイの高知1 号店がオープン」『高知新聞』1998年5 月16日付。45 「ファミリーマート,高知市に1 号店開店」『高知新聞』2004年10月6 日付。46 サークルケイ四国の専務によると「高知自動車道がなければ,高知出店は考えられなかった」と話している。「大手コンビニ,四国で出店攻勢 店舗数, 2 年で4 割増」『日本経済新聞』1998年4 月18日付。47 「ファミリーマート,四国に本格進出 コンビニの競争加速」『日本経済新聞』2003年12月10日付,「ファミリーマート,高知市に1号店開店」『高知新聞』2004年10月6日付。48 「コンビニ店舗数20%増」『日本経済新聞』1999年8月31日付。