ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 29線へ,さらに面へと多店舗化を進めるのが戦略。新たにエリアを開拓し,商品を配送するのは非効率」だったからである。そして「四国では瀬戸内に力を入れる。当面は3県だけで計200店が目標。高知県については,将来は分からないが,現状は全く未定」と,四国内でもまずは瀬戸内側の香川・愛媛両県での出店強化に力点が置かれていたのである49。以上のように,高速自動車道延伸に基づく物流変革ならびに四国他県での地盤確立を経て,大手資本の高知進出ラッシュが進んでいったわけである。そして,こうした外来資本の余波を受ける形で,県内では「コンビニ戦争」と称されるほど競争が激化していった。とりわけ,県内で最大勢力を誇っていたスパーの場合,ローソンやサンクスの出店のあおりを受けて,たちまち年末年始の売上高が初の前年割れを記録する等,大苦戦を強いられるようになった50。こうして,大手資本による相次ぐ圧力を受ける中,ついに2001年に,サニーマートは大手コンビニ・チェーンへの対抗策として,関東地方をベースに情報システム投資を積極的に進めるスリーエフとエリア・フランチャイズ契約を結び,スパーからの「くら替え」を決断するに至った51。では,この時期のコンビニ地図は,どのように塗り替えられたのだろうか。まず,地場コンビニの地盤沈下に伴う,大手コンビニの台頭と地場スーパー系の対抗が指摘できる。表9が示すように,2005年時点のチェーン別コンビニ店舗数では,これまでトップの座を占めていたスパーが首位から陥落し,代わってローソン,サークルK,サンクスの大手3社が,高知進出後わずか数年で上位を占めるに至っている。と同時に,スリーエフとスパーを抱えるサニーマート系の地場コンビニも,大手資本に侵食されつつも,県内では依然勢力を保持していたといえる。しかし,それ以外の中堅ボランタリー・チェーンや単独店については,店舗数が絶対的に減少しており,24時間営業のフランチャイズ・49 「大手コンビニなぜないの? 本県流通業界の特殊事情」『高知新聞』1994年6月6日付。50 「98年県内元日商戦『笑った』サティ,県外コンビニ『苦戦』スパー,ダイエー」『高知新聞』1998年1月12日付。51 「サニーマートのコンビニ事業 スリーエフとFC 契約」『高知新聞』2001年3月15日付。その後,同社はコンビニエンス事業部を2005年に分社し,株式会社スリーエフ中四国を設立した。