ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

32 高知論叢 第113号店が相次ぐようになり,狭いエリアで好立地をめぐる争奪戦が繰り広げられるようになっていった53。以上のように,高知県内のコンビニ地図は,大手資本の進出によって大きく塗り替えられていったわけであるが,では,地域社会には一体どのような影響をもたらしたのだろうか。まず第1に指摘すべきは,スパーをはじめとする既存コンビニ・オーナーへの打撃である。実は,上で述べたサニーマートによるエリア・フランチャイズ転換表明は,同社の「一方的くら替え表明」にすぎず,事前に通告のなかった加盟店オーナーの間では,動揺とサニーマートへの不信感が募っていった。と同時に,移行先のスリーエフは,24時間営業が絶対条件であり,ロイヤルティも割高になることから,「今でさえ(オーナーの)取り分はほとんどない。数十万も減るのなら,とても替われない」「家族総出でも24時間営業は絶対無理。人間らしく(仕事を)やりたい」等,経営をめぐる将来不安が噴出した。しかも,スパー出店に際して15年返済を前提とした多額の負債も抱えており,「少しでも長くスパーをやって借金を減らしたい」という声も多く聞かれるようになった54。これに対して,サニーマート側も,スリーエフへのスムーズな移行・一本化を図るべく,1年以内で移行した者へのロイヤルティ軽減等の特典を提示したものの,「アメがあんまり甘くないから困っている」と,オーナーの不安やリスクを払拭するまでには至らなかった55。結局,スパー加盟店の4割強に上る店主が「スパー存続を望む会」を結成し,「最低10年間のスパー存続」等の要望を出すに至った56。その後,各店舗はどのように変化していったのだろうか。図2は,『タウンページ』各年版を基に,サニーマート「くら替え表明」後のスパー各店の推移を示したものである。この図は,各年のタウンページに掲載されている住所が同一であれば,店舗を継続したものと見なしているため,同一店舗でオーナーが交代したケースまでは把握できないものの,コンビニ店舗の寿命については53 「コンビニ戦争再燃」『高知新聞』2005年3 月16日付。54 「サニーマートの新コンビニ移行 衝撃,戸惑い,不安」『高知新聞』2001年4月26日付,「24時間無理,借金返せぬ『存続を望む会』が要望へ」『高知新聞』2001年7月13日付。55 「サニーマート 大手攻勢で厳しい選択」『高知新聞』2001年4月28日付。56 「24時間無理,借金返せぬ『存続を望む会』が要望へ」『高知新聞』2001年7月13日付。