ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 35ブン-イレブンの高知進出である。セブン-イレブンにとって,四国はセブン&アイ・ホールディングスの地盤がない土地柄であったため,他の資本と比べて進出が立ち遅れていたが,ついに2013年3 月に香川・徳島両県への出店を通じて四国初上陸を果たした。そして,愛媛県へ,さらには高知県へ順に進出することで,2018年までに四国全体で570店を出店する計画を打ち出した60。その一環として,香川・徳島両県では,サンクスアソシエイツ東四国が運営するサンクス90店をセブン-イレブンに一挙に「くら替え」して急速に地盤を固めるとともに,専用ベンダーであるわらべや日洋等の弁当・惣菜工場を香川県坂出市と愛媛県新居浜市に完成させ,四国内での商品供給力の強化を図っていった61。このような路線に沿う形で,2014年にセブン-イレブンは高知県進出を表明し,翌年3月に高知市内で3店舗を開店するとともに,2019年2月までに県内100店舗という出店目標を発表した62。ここで注目すべきは,この出店計画が,現在の県内コンビニ総店舗数の3分の1にあたる大規模なものであるとともに,店舗拡大に際して高知県の地場スーパーであるサンシャインチェーン本部とも提携を結び,地場スーパーがFC 契約の下でコンビニ事業に参入するという内容が含まれていた点である63。あわせて,県内初オープン時の記者会見で,同社の副社長は「呉越同舟の時代が終わり,ナンバーワンだけが生き残る」と発言し,商品・サービスの差別化やネット・宅配サービス等,人口が少なく市場規模の小さい高知県内でもライバルに圧倒的な差を見せつけようとする意気込みを示した64。コンビニ業界最大手によるこうした激しい出店攻勢に対して,他社からは一斉にセブン-イレブンへの対抗策を講じるようになった。まず,スリーエフを60 並行して,JR 四国の駅構内にある売店全36店も,2014年8月からセブン- イレブンに切り替えられていった(「JR 四国の売店転換発表」『日本経済新聞』2014年7月10日付)。61 「セブンイレブン四国上陸の衝撃(上)」『日本経済新聞』2013年3月1日付,「四国の工場,23日稼働」『日経MJ』2013年12月6日付。62 「高知で100店計画 セブンイレブン,4年内に」『日本経済新聞』2015年3月6日付。63 「セブン高知進出 18年度までに120店以上」『日本経済新聞』2014年10月16日付,「サンシャイン セブンと提携 県内でコンビニ参入」『高知新聞』2014年10月16日付。64 「セブン- イレブン・ジャパン副社長に聞く 市場の変化が競争相手 商品,サービスで差別化」『高知新聞』2015年3月8日付。