ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

38 高知論叢 第113号Ⅲ 「第2次コンビニ戦争」と地域商業構造の再編成1.セブン-イレブンの高知進出:その戦略と現状69最初に,「第2 次コンビニ戦争」の震源地であるセブン-イレブンに焦点を当て,同社の進出の狙いを確認するとともに,次節以降ではそれに対する地場スーパー3社の対応ならびに加盟店オーナーの実態について,各アクターへのヒアリング調査を基に検討してみよう。そもそも,セブン-イレブンの高知進出は,Ⅰ章で述べたように,チェーン全体として出店ペースを近年加速化させており,その中で未出店エリアへの進出がどうしても必要であるという本部の戦略によるものである。ただし,高知県をはじめとする四国については,西武百貨店やロフト,タワーレコードといったセブン&アイ・グループの関連店舗が限られているため,地元有力企業と何らかの形での提携を模索してきた。県内でも,地場スーパーとの提携を複数検討した結果,最終的にサンシャインと提携することになったという。こうして,セブン-イレブンは,2015年に初出店後,わずか1年間で21店の出店を実現させた。同社の出店戦略の基本は,認知度アップや配送費,店舗カウンセラーの巡回効率を考慮した,狭いエリアでの高密度多店舗出店(ドミナント)方式にある。そのため,出店エリアは県内全域での均等配置ではなく,高知市を中心に,東は香南市野市町,西は須崎市までに当面は限定し,物流の関係から高知自動車道に沿って重点的に出店を進めていく方針である。24時間営業のセブン?イレブンにとっての大きな強みは,本部が開発するオリジナル商品である。セブン-イレブンの場合,あくまでも本部が定めたフォーマットに従って店舗運営を行うが,陳列商品についても,商品開発から原料調達,製造,配送に至るまですべて自前で管理を行い,温度管理とともにトレーサビリティに対応できる一貫体制をとっている。製造については,商品の品質保持とノウハウ流出の回避ゆえに,日本デリカフーズ協同組合に加盟する専用69 本節では,特に断りのない限り,2016年6月3日に行ったセブン? イレブン高知事務所でのヒアリングに基づく。