ブックタイトル高知論叢

ページ
41/148

このページは 高知論叢 の電子ブックに掲載されている41ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 39契約工場が担当している。ただし,各工場とは資本関係を持たずに緊張関係を保つことで,同社の提示する厳しい条件をクリアした商品を調達させる方針を採っている。なお,高知県内の店舗には,弁当は香川県坂出市,チルド商品は愛媛県新居浜市,パンは岡山県の各工場から配送している。こうした商品施策に加えて,最近取り組んでいるのが,ネット販売と高齢者対応である。前者は「オムニチャンネル」と呼ばれ,セブン&アイ・グループの商品をネットで申し込みを行えば,セブン?イレブンの各店舗で受け取ることのできるネットと店舗を融合した仕組みである。一方,後者は「セブンミール」という名称で,高齢者向けに1日3便食事の配送を行うとともに,見守り活動もあわせて行うというものである。これらの営業を行えば,各店舗にも1件あたり129円,留め置きだと162円が入る仕組みになっている。さらに,自治体とも災害協定や高齢者見守り協定等を結ぶことで,県内でもこうした協定締結を通じて社会貢献活動に取り組もうとしている。このように,セブン-イレブンは,同社特有の集中出店戦略や商品・サービスの供給力等を生かすことで,後発でありながらも地域独占を目指しており,2019年末までに現在の県内コンビニ総数の3 分の1に当たる100店舗の出店を計画している。ただし,香川県では100店舗,徳島県では90店舗,愛媛県では70店舗の出店ペースと比べて,同じ四国の中でも今のところ予定通りには進んでいない。問題の1つは,県内における適地確保の難しさである。高知県は,他県に比べて可住地面積が狭く,好条件の場所に集中するため,地価も割高で収益を圧迫しやすく,同業他社と競合しやすい土地柄である。それでも,同社によると,店舗物件の用地については,すでに確保しているとのことであった。ただし,もう1つの問題がネックになっているという。それは,加盟店オーナーの人材不足である。高知県内では,低収入・高負担といったコンビニ経営のイメージ浸透に加えて,他県では一般的な夫婦オーナーが比較的少なく,親子や未婚の兄弟のケースが多い等,経営者の候補自体が絶対的に不足しているという。そのため,応募年齢の上限引き上げ等,店舗を担うオーナーをいかに確保するかが大きな課題であるとのことである。加えて,地域経済の観点からも,セブン? イレブンの進出はいくつかの課題