ブックタイトル高知論叢

ページ
42/148

このページは 高知論叢 の電子ブックに掲載されている42ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

高知論叢

40 高知論叢 第113号を抱えている。第1に,高知県内には契約工場は1つもなく,県産の原料使用も量的に限りがあるため,わずかな県内業者からの納入品を除けば,県内に店舗はできても産業連関はきわめて乏しい。第2に,他県の工場から商品が供給されるため,県内では売れ行きの悪い商品が生まれる点である。例えば,寿司については,四国内全店舗への配送ゆえに瀬戸内の味覚の寿司が供給されているが,県内の消費者からは酸味のない味は不評で,全く売れないという。確かに同社は同じ商品でも地方ごとに差異を付ける戦略をとっているが,専用商品をつくるためには300店程度の店舗数が必要であるといわれているため,あくまで四国一帯が限度であって,県レベルまでは十分対応できていない。その意味で,地域独特の食文化と同社の大量供給路線とのミスマッチングが起きている70。第3に,地場スーパーとの提携の限界である。サンシャインは,ボランタリー・チェーンであるがゆえに,セブン-イレブンとの包括提携は実現せず,あくまでも他の個人オーナーと同列でFC 契約を結んでいる。したがって,セブン-イレブンとの商品の相互乗り入れ等,相乗効果は十分期待できない。以上より,セブン-イレブンの高知出店は,あくまで店舗関連の土地利用と労働力を除けば,出店増に伴う地域経済への波及効果はあまり期待できないといえよう。2. セブン-イレブン進出と《コンビニ-地場スーパー連合》とはいえ,セブン-イレブンの進出は,高知の流通業界に新たな衝撃をもたらしたことは間違いない。その1つが,大手コンビニ資本3社と県内地場スーパー資本3社とが業態を越えて関係構築を図る《コンビニ-地場スーパー連合》の形成である。すなわち,①セブン-イレブンの1オーナーを選択したサンシャイン,②ファミリーマートとのコンビニ・スーパー一体型店舗を試行するサンプラザ,③スリーエフと契約解消し,ローソンとの合弁設立に向かったサニーマートである。以下では,各地場スーパーの戦略に注目してみよう。70 100店舗という大量出店の狙いは,こうした商品供給とも関係している。ちなみに,地域限定メニューとして,バクダンおにぎりが現在販売されているが,県外の工場では量が少ないためラインが使えず,手作業で握っているという。