ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 41(1)サンシャイン:セブン-イレブンへの包摂と受動的適応71まず,セブン-イレブンと提携に踏み切ったサンシャインから見ていこう。サンシャインは,高知市内に本社を置くボランタリー・チェーンである。1961年の創業で,かつては「高知主婦の店」として展開していたが,1986年に現在の社名へ商号変更を行うとともに,2011年には全国の中堅・中小スーパーの集まりであるCGC グループに加盟し,今に至っている。高知県内を中心に直営店16店の運営ならびにチェーン加盟10社16店舗の経営指導を行っており,2015年の県内売上高ランキングでは12位,スーパー業界第2位の企業である。そもそも,セブン-イレブンとの提携に踏み切った背景には,業態としてのスーパーの衰退傾向があるという。高齢化や家族形態の変化によって,今後は小商圏の方向が強まりつつある。すると,スーパーまで行けない人はコンビニで済ませるだろうし,店舗が小さいコンビニは買い物がしやすく,外食もカバーしていることから,スーパーとしてもコンビニのような対応を検討せざるを得なくなっている。また,近年では多品目かつ売価の安い大手ドラッグストアも県外から進出してきており,同社単独で小売業のシェアを上げるのは難しい状況になりつつある。そこで,コンビニとの提携を模索する中,商品力・収益力ともに業界トップのセブン-イレブンを第1 の相手に選んだとのことである。こうして,同社はセブン-イレブンと契約を結び,受け皿として100%子会社のエリアスを設立した。個人オーナー中心のコンビニ経営にスーパーが乗り出すのは全国でも珍しく,2016年5月時点で2店舗出店している。2016年度内にはさらに4~5店舗出店する予定で,将来的には20店舗の出店を目指している。では,実際の運営は,どのように行われているのだろうか。セブン-イレブンとのFC 契約では,すべて本部が決めたフォーマットにしたがって経営指導されるため,サンシャインはあくまで1オーナーとして売上を出してロイヤルティを納める立場にすぎない。物流や出店判断についても,主導権はあくまで71 ここでは,特に断りのない限り,サンシャインチェーン本部でのヒアリング調査(2016年5月17日)ならびに同社ウェブサイト(http://sunshinechain.com/corporate_prof),帝国データバンク『全国企業あれこれランキング2016』帝国データバンク,2015年に基づく。