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概要

高知論叢

42 高知論叢 第113号セブン-イレブン側にあり,コンビニ-スーパー間の商品開発や相互交流もハードルが高く,実現していない。そのような中で,サンシャインは,社員を出向させる形で店舗運営を行い,エリアスでパートを雇用し,各店に配置している。ただし,社員は同社のサラリーマンであり,労働基準法の枠もあるため,24時間経営というコンビニの勤務形態に戸惑いが起きているという。しかも,出店拡大に伴ってこれ以上出向社員を増やすわけにはいかないので,今後はパートを店長に据え,出向者が新店舗に廻ることも検討しているという。このような中で,サンシャインは,今後どのような見通しを持っているのだろうか。同社によると,セブン-イレブンは,100店出店宣言は必ず実現させると思われるので,スーパーの販売シェアもコンビニに流れていく可能性が高いと想定している。セブン-イレブンは全国平均の日販が65.6万円であり,これを同社目標の20店で算出すると,47.8億円に達する。これは,2015年における同社の年商(220億円)の約2割に相当する規模であることから,コンビニ事業は確かに大きな魅力であるといえる72。県内では他の大手コンビニがすでに進出した後でもあり,立地場所も限定されることを考慮すれば,今後一層厳しくなるだろう。それでも,スーパー需要だけでは厳しい中,コンビニも事業に取り入れておくことで,全体としてシェアを高めていければよいという見通しを立てているようであった。以上のように,大手コンビニの進出に伴うスーパー業界への圧迫を予想し,1フランチャイジーの立場でセブン-イレブンの戦略に包摂されながら,業界再編の波に対して受動的に適応していこうというのが,サンシャインの現在のスタンスであるといえよう。(2)サンプラザ:ファミリーマートとの折衷型店舗開発と選択的適応73サンプラザは,高知県中部・土佐市に本社を置く食品スーパーである。創業72 ただし,高知県の日販は多くても50万円程度ともいわれており,その場合,20店出店によってサンシャインの年商の17%に当たる36.5億円になると予想される。73 ここでは,特に断りのない限り,サンプラザでのヒアリング調査(2016年6 月27日)ならびに同社ウェブサイト(http://www.sunplaza-kochi.co.jp/01kaisya/01gaiyou.htm),帝国データバンク,前掲書に基づく。