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概要

高知論叢

44 高知論叢 第113号ト特有の品質管理の厳しさを実感したという。したがって,サンプラザが作る弁当についても,現場では早くから要望されてきたものの,この品質管理基準ゆえに,いまだ実現していない。また,一体型店舗はスペース的に小さいため,現状では満足しておらず,今後はスペースをより広くとって一気に店舗を増やしていきたいとのことである。では,コンビニ事業は,サンプラザにどのような影響や課題を及ぼしているのだろうか。まず,ファミリーマートのデータ管理や自動発注システムは学ぶところが多く,参考にしたいと考えているが,コンビニ店舗自体の売上については,トータルではプラスである反面,一部不採算の店があるという。ロイヤルティについては一部優遇が得られているが,今後どう改善するかが課題である。第2に,本業のスーパー事業への負担である。人材面では,スーパー本体での人手不足の中で,従業員を各店舗に出向させなければならないが,それに加えて,一体型店舗の開始後には,配送担当のスーパー側に労働力や手間の面での負担が新たにかかり,現場でどう折り合いを付けるかが大きな課題になっている。第3に,コンビニ店舗内での人材確保である。同社では,3号店の出店までは従業員を確保できたものの,4店目については開店直前まで人が集まらず,仕方なく現在は割高な派遣会社経由で1名雇用しているとのことである。しかし,夜間バイトはとりわけ深刻で,現在は他店舗からの応援で対応せざるをえず,結局は出向社員が長時間労働を強いられているのが現状である。そもそも,コンビニ契約では,24時間営業しか認められていないが,すでに県内ではオーバーストア状態になっており,今後は地方の実情に即して横並びをやめ,深夜営業を自粛することも本部で検討してほしいという意見も述べられた。以上のように,サンプラザについても,大手資本からのアプローチを背景にFC という形でコンビニ事業に参加するようになったが,同社の場合,ファミリーマートと連携して,コンビニとスーパーの双方の特徴を生かした折衷型店舗開発を進め,コンビニ事業への選択的適応を図ろうとしているのが特徴的である。と同時に,事業拡大に伴って,コンビニ経営と本業とのバランスをめぐる課題にも直面しているといえよう。