ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 45(3)サニーマート:ローソンとの共同運営と戦略的適応74最後に,ローソンと合弁会社を設立したサニーマートに視線を移そう。サニーマートは,高知市に本社を置くチェーンストアである。1961年に朝倉鴨田センターを出店後,株式会社主婦の店設立を経て,1972年に現社名に変更し,今に至っている。高知と愛媛両県にスーパー直営店25店を経営する他,小僧寿しをはじめ外食店舗を運営するサニーフーズや,TSUTAYA を展開するWILL 等,関連会社23社を傘下に収めるグループ企業でもある。2015年の県内売上高ランキングでは第6 位,スーパー業界ではトップ企業である。同時に,忘れてはならないのは,サニーマートは高知県内で草創期からコンビニを普及させてきた牽引役でもあるという点である。1980年代からはスパーの導入を通じていち早く地場コンビニを展開し,2000年代からはスリーエフに転換して大手コンビニとの対抗路線を指向してきた。しかし,今回,スリーエフへの移行からわずか10年ほどで,大手資本のローソンの傘下として再度くら替えを図る決断を下した。同社社長によると,ローソンを選択した大きな理由は,全国チェーンではないスリーエフは合理性や効率性に欠け,今後ますます厳しくなることが予想されることと,本部のフォーマット以外は許容しないセブン-イレブンとは異なり,地元色を残せる可能性が一番高く,一緒にやってきた食品業者にとってもメリットがある点だという75。ローソン側でも,地元で支持されている業者との提携が良いと判断し,サニーマート51%,ローソン49%の出資比率で運営会社「ローソン高知」を設立した。共同出資方式は,沖縄県や鹿児島県のケースに続いて全国3例目であり,いわば「統一チェーンに地元のエキスを入れた店づくり」を目指している。具体的には,スリーエフ時代の店内調理を「える厨房」として残し,厨房のない店舗でも拡張を進める等,サニーマートの培ってきたノウハウを生かそうとする例が挙げられる。74 ここでは,特に断りのない限り,ローソン高知でのヒアリング調査(2016年6月20日)ならびにサニーマート・ウェブサイト(http://www.sunnymart.co.jp/profi le),ローソン高知ウェブサイト(http://www.lawsonkochi.co.jp/), 帝国データバンク, 前掲書に基づく。75 「ローソンと合弁会社設立へ サニーマート中村社長 地元生かせる選択」『高知新聞』2014年10月28日付。