ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

48 高知論叢 第113号振込が遅く,従業員の1ヵ月分の賃金支払については,店が立て替えざるを得ないとのことである。このような中,近年の経営動向については,バイパス開通に伴う交通量の変化に加えて,別のローソンが近隣に出店したことにより,売上が1割以上も落ち込んだという。しかも,売上が下がると廃棄費用も嵩んでくるので,新たな客を作るか,客単価を上げる必要がある。通常の商品は仕入値が本部によって決められているため,自身で裁量がきくコーヒーやFF といった厨房品で工夫をしているという。現在,従業員は,パート・アルバイトを含め,16人を雇用している。時給は通常700円,深夜は875円である(調査当時)。時給693円という最低賃金すれすれの水準ではあるが78,それでも賃金だけでなく雇用保険や有給も必要なので,人件費負担はかなり大きい。にもかかわらず,従業員を雇わないとやっていけない状況にある。しかも,最近では,人手不足と高齢化が新たに重くのしかかっている。以前は35歳以下で従業員募集をかけていたが,近頃は人手が集まらないため,今年から50代と60代の従業員を1人ずつ雇うようになった。本部は複数店を推奨するものの,今の人手不足の状態では到底無理であり,24時間経営についても考え直すべき時期ではないかと語っていた。では,セブン-イレブン進出後の「コンビニ戦争」については,どのような印象を持っているのだろうか。まず,セブン-イレブンについては,「元気がないし,オーナーが見つからない気がする。高知は枠が小さく,コンビニの件数はキャパシティいっぱいである。すでに淘汰された後で,元気のある店しか残っていないので,ローソンにはついて来れないのではないだろうか」との印象を抱いていた。一方。ローソン高知の設立とスリーエフの転換については,ローソンの会合で説明を聞いたというが,「変わった実感はないと思う。セブン-イレブンのように商品の特色は今も見られず,親会社が三菱に変わっても,その効果が見えてこない気がする」という評価であった。最後に,本部への要望について聞いてみたところ,「もっとこっち(オーナー)78 2015年度の水準。2016年度の改定では,714円まで大幅に引き上げられたが, 全国平均(822円)との差は前年度よりも拡大した。