ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 49を大事にして欲しい」という回答が返ってきた。具体的には,「収入だけでなく,商品仕入れにまつわるサポート」と,「ロイヤルティは下げて欲しいと思わないが,商品の充実と仕入単価の低下をしっかりやってほしい」という要望が出され,オーナー側に立った支援を強く求めている様子がうかがわれた。(2)ファミリーマートB 店のケース79次に,ファミリーマートB店について,紹介しよう。中高年世代に当たる同店オーナーは,調査時点でコンビニ歴9年目であったが,現在は10年契約の更新を済ませ,二巡目に入っている。同店も郊外に立地する店舗で,午前は仕事前の労働者,午後は近所のお年寄りが来店するという。従業員は,パート・アルバイトあわせて10人いる。そのうち,4人が定着しており,彼らを中心にシフトを廻している。コンビニの仕事は,レジ打ちから商品の補充,厨房作業,日切れチェック,清掃等多岐にわたるので,役割分担を決めて行っている。商品の発注についても,それぞれ分担しているとのことである。「コンビニ戦争」への印象と課題について聞いてみると,まず,近隣に立地していたスリーエフがローソンに転換したことが大きいという回答が返ってきた。たちまち売上が落ち込んでしまい,これが目下の悩みだとのことである。加えて,当店よりも売上規模の大きいセブン-イレブンが新規参入を果たしたことを考えると,コンビニの乱立状態を感じてしまうとのことである。このような中,コンビニ経営にまつわるオーナーの過労やストレスはものすごく大きいと,自身の経験を語ってくれた。日々の労働時間は12~15時間に及び,もはや疲労はピークに達しているという。実際に,夫は過労で2度も手術を受けたことがあるそうだ。また,コンビニは案件がたくさんありすぎて,しかもアクシデントが起きるのは決まって夜間のケースが多く,かつては大雨の影響で水害を経験したこともあったという。したがって,24時間営業はやめたいけれども,契約上やめられないので困っているとのことである。79 ここでは,特に断りのない限り,ファミリーマートB店のオーナー・ヒアリング(2015年1月20日)とその後の追加ヒアリングに基づく。