ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

50 高知論叢 第113号したがって,契約更新の際には相当悩んだそうである。上で述べた過労やストレスがある反面,顧客が付いているし,スタッフ4人が育っていることもあり,判断に迷ったものの,結局は更新を決断した。それでも,夫の健康問題もあり,今後経営を続けていけるかどうか,今も大丈夫かどうか不安に感じているとのことであった。(3)サークルK・C 店のケース80最後に,サークルK・C店の状況を述べよう。同店のオーナーは,コンビニ歴10年で,複数店を経営している。売上は,グループの中ではいい方に属するといえる。ただし,オーナーによると,むやみに売上を伸ばすことは避けているという。というのは,売上が増えると,Ⅰ章で述べたようにロイヤルティやコストが嵩むコンビニ会計の仕組みがあるので,売上のレベルとロイヤルティ/コストとのバランスをうまくとらなければならないからである。ただ,コスト面でコントロールできるのは,人件費や廃棄費用の削減ぐらいなので,そこで調整を図っている。また,おにぎり等の商品は決められた価格でしか仕入れができず,店舗側では発注のみでどうしようも出来ないが,カウンターフーズについては店舗側の裁量がきくので,そこで売上を伸ばす工夫をしてきたそうである。従業員は,各店で社員2名がいる他,アルバイト5名で構成されている。いずれも10代~50代で,時給は最低賃金に近い700円(調査当時)に設定している。コンビニの仕事はきつく,販売から仕込み,清掃に至るまで,常にバタバタしており,要領よくこなすまでが大変である。そのような事情もあり,最近は深刻な人手不足に直面している。3年前まではアルバイト募集をかけると人を選ぶことができたが,最近はハローワークで求人を出すと,高齢者の応募が増えてきているという。一方,人手を集めるために時給を50円引き上げると,月あたり5万円のコスト増になるため,経営的にとてもやっていけないとのことであった。80 ここでは,特に断りのない限り,サークルK・C店のオーナー・ヒアリング(2016年3月4日)に基づく。