ブックタイトル高知論叢

ページ
53/148

このページは 高知論叢 の電子ブックに掲載されている53ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 51このような状況なので,現在は以前の半分の人数で店舗をやりくりし,社員を中心に無理をしている状態である。オーナーも,店舗を掛け持ちしながら,1日20時間働くこともあるそうだ。あまりに忙しく,日・祝日のたびに親戚に預けて仕事しているため,子どもにしわ寄せがいくことを申し訳なく思っているとも語っていた。一方,「コンビニ戦争」については,「セブン-イレブンもローソンも,どこも同じであり,近くに店があるかどうかが問題である。高知の人は新しいものが好きなので,オープン当初は怖かったが,最近のセブン-イレブンは勢いが落ちているようだ」との印象であった。最後に,今後の展望や本部への要望について聞いてみると,「いずれサークルKサンクスになる予定だったのが,その1ヵ月後にファリーマートとの合併を突然知らされた。2017年1月より,2年半かけてファミリーマートに移行することになっている。しかし,近隣にはすでに同系列の店舗が存在している。ファミリーマートと戦うために出店したのに,今度は同社に衣替えして,同一地域に集中することになるとは」と,戸惑いを見せていた。あわせて「今は出店しすぎではないか。人員を増やさないと対応は無理である」という印象も語ってくれた。そのような中で,「ぜひ本部と加盟店との役割分担を見直して欲しい。本部としての仕事ももっと増やすべきだし,資金面での支援が欲しい」との要望が強く出された。おわりに以上,大手コンビニ資本の全国浸透と地域経済との関係ついて,最後のフロンティア地域の1つである高知県を中心に分析してきた。本論文では,本部―オーナー間の指揮権と地域経済構造という2つの視角からアプローチしてきたが,締めくくりにあたって,これまでに明らかになった内容を,3点に分けて総括しておこう。