ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

コンビニエンスストアの全国浸透と地域経済 55複数店経営の推奨という形で対処しようとしているものの82,すでに述べたようにオーナーは身体的にも精神的にも限界に達しており,オーナーばかりにリスクが課せられる現状のシステムでは,店舗拡大も早晩行き詰まりを見せる可能性も出てこよう。オーナー・地域は何を求めているかそれでは,以上述べた状況はいかに克服していくべきなのだろうか。最後に,オーナーや地域の立場から,今後あるべき方向性について提示したい。第1に,店舗経営におけるオーナーの自己決定権の確立である。本部が謳う「共存共栄」を実現するためには,現在行われている加盟店に対する本部のコントロールに制限をかけ,自営業主としての経営の裁量を広げて安定的に自立できるように加盟店負担の軽減と営業支援を強化していかなければならない。目下の大きな課題の1つは,深夜営業を含む24時間営業への規制と店舗側の自由裁量の拡大である。店舗内労働力の枯渇とオーナーの加重負担をもたらしてきたこうした強制力に歯止めをかけ,営業権と生存権の観点からオーナー側に開・閉店時間の権限を与える方向に転換していくことが求められる。2つ目は,コンビニ会計の抜本改革である。仕入価格およびオープン・アカウントの透明性確保や,高率ロイヤルティの引き下げと利益配分の公平性等,コンビニ会計の公正化に向けた転換が不可欠である。特に,高率ロイヤルティは,オーナーの収入悪化とパート・アルバイトの低賃金の双方を規定し,コンビニ・イメージの悪化とオーナー・労働者双方の枯渇という悪循環をもたらす根源である。ロイヤルティのあり方を見直し,本部と加盟店との利益分配格差を是正することこそが,経営全体の好循環とイメージアップにつながる第一歩であろう。さらに,本部の経営変更に対する事前通告や,同一チェーンの近隣出店への規制,テリトリー権の保証等,安定経営に向けた環境づくりも,3つ目の課題として取り組む必要があろう。また,こうした課題を解決する際に鍵となるのが,コンビニに適合したルー82 ファミリーマートとローソンが撤廃,セブン-イレブンは60歳に設定している。「店オーナーの年齢上限撤廃」『高知新聞』2017年2月14日付。