ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

92 高知論叢 第113号1名が勤務している。復興作業に従事している土木作業員等の医療面の不安を和らげることに配慮されており,「リカーレ」(復興に向かう最高のケア)がめざされている(診療所の愛称は「ふたばリカーレ」)。開所後の患者累計は853名であり,内科6割:整形外科4割ぐらいの内訳となっている。患者の4割は楢葉町住民であり,6割は広野町等の町外の患者である。内科は1日当たり14名の患者,整形外科は1日当たり8名の患者が通院している。今後の課題は,第1に,救急空白時間帯となる夜間,土日,祝日の対応であり,他院に救急搬送しなければならなくなっている。第2に,医師確保の問題があり,県立医大からの出張診療に加えて,所長も東京からの通勤であるため,診察時間が限られており,患者の対応が診療所の受容能力の限界を超えているという。第3に,薬剤師の確保の問題があり,町内にいないので,広野町の調剤薬局に依頼している。以下は,われわれとの質疑応答である。【学生との質疑】学 生:心のケアが必要な人はどのくらいいるか?診療所:潜在的には,いると思う。他の精神科やNPO で,そのような活動をしている所もある。まだ住民の帰還率は7~8%であり,今後,さらに避難先から戻ってくると,そういう対応が必要になってくると思う。内視鏡も増やしていく。高齢者も多いので,毎日リハビリに来る人もいる。理学療法士や作業療法士がいないので,医師の指導の下で看護師が対応している。リハビリのスタッフの確保が難しい。福島県楢葉町( ふたば復興診療所)2016. 3. 29