ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

94 高知論叢 第113号チームで相談支援に当たっているが,支援者側も経験のないストレスに直面している。最大の問題は,人のつながりであり,コミュニティの変化,家族関係の変化である。震災前の問題が拡大,表面化した面もあり,住民ニーズの把握,課題の把握をふまえ,一歩先を見通す予防中心の考え方が必要になっている。生活習慣病対策,介護予防教室,心のケア,生きがい・役割づくり,発達・子育て支援,放射線被曝に関する健康管理など,情報を共有し,手を結んでチームで関わることが重視されている。支援する側も被災者であり,どう支援していくか,支援者の支援(心のケア)も必要となっている。放射線量が低下しても,生活できるかどうかは別問題であり,「準備宿泊」が必要とされる。避難指示(2011年3月)→警戒区域指定(2011年4月)→避難指示解除(2015年9月)→帰町と本格復興(2017年度以降)というプロセスの中で,非日常的な暮らしから普通の暮らしへ,依存から自立がめざされるが,困窮者や障害者など,自立が難しい人もいる。避難解除後のコミュニティの再生,再構築に向けて,前述のやまゆり荘は訪問介護,通所介護,見守り,居場所の機能を担い,認定こども園は一時保育や子育て広場(元々,子育て支援センターだったので)の機能を担うことが考えられているが,防犯に対する地域の見守り体制や,地域共生ケア会議(児童虐待以外)を地域包括支援センターがマネジメントしていくことが予定されている。以下は,玉根保健師とわれわれとの質疑応答である。【学生との質疑】学生:仮設住宅から復興住宅へ移行するプロセスで,コミュニティはどのよう福島県楢葉町(役場)2016. 3. 29