ブックタイトル高知論叢

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概要

高知論叢

被災地域における地域共生拠点と地域づくり 95に再生されるのか?役場:楢葉町内に公営住宅を建てる予定である。そこで,新たなコミュニティを創らなければならない。仮設から,そのままのコミュニティ再現が望ましいが,新たに創り直さざるをえない。認知症高齢者も増えている。5~6回移り住んでいるので,高齢者のストレスが認知症にも影響を与えているが,復興住宅は最後の居場所となる。住民の5割が帰町するとして,その一部は公営住宅(約130戸建設予定で,津波被害を受けた人や家が崩壊した人を優先)に入居するが,割合としては少なく,自分の家に戻る人や,新たに建てる人もいる。サロンには,いつでも来てもらえばよいし,それが町全体のコミュニティ形成にもつながっていく。住民なら誰でも来ることができるサロンは目的外使用になるが,国の許可を得て実施したい。元々,多目的ではないので,そこが縛りになっているが,今後,人が増えていけば,各地域の集会所のような単位でも検討していきたい。学生:被災地域における孤独死が言われているが?役場:見守りはしている。ただ,仮設住居だから,というわけではない。同じ場所に住んできた家族が分かれて住むことになり,孤独死に至るケースもある。介護保険という視点ではなく,まちづくり自体が包括ケアである。介護保険に結びつけて包括ケアが言われているが,要は地域づくりだ。農業中心の地域なので,嫁が親と同居していたが,震災後,仮設住居は小さいので,若い世代はアパートなどに住み,そのまま楢葉町に戻ろうとしない。震災前の楢葉町の高齢化率は28%程度だったが,震災後は52%程度に上がった(すなわち,戻ってきているのは高齢者中心)。ただ,元気な高齢者が多い。楢葉に現在住んでいる子どもは,楢葉に戻り,いわき市に通っている。2017年度には,いわき市内の仮設のこども園が廃止され,一般の保育所に通うことになる。教員:震災関連死は,具体的にはどのような内容か?役場:原発関連で通院できなくなった人や,ストレス等。避難中に介護保険等の申請をしていないままの人もいるので,そのような場合には,審査会